「マイナ保険証」 県内71の医療機関でもトラブル 長野

全国でトラブルが相次いでいるマイナンバーカードと一体化した健康保険証について、長野県内の開業医などでつくる団体が調査したところ、71の医療機関で保険加入者の情報が正しく反映されていないなどのトラブルがあったことがわかりました。

マイナンバーカードと一体化した健康保険証「マイナ保険証」をめぐっては全国でトラブルが相次いでいて、長野県内で開業する医師や歯科医師などでつくる「長野県保険医協会」は、協会に加盟する898の医療機関を対象に、トラブルについてのアンケート調査を行いました。
アンケートには121の医療機関が回答し、このうち71の医療機関が「トラブルがあった」と回答したということです。
具体的には、保険加入者の情報が正しく反映されていなかったケースが最も多く43件、機械の不具合で「マイナ保険証」の情報を読み取れなかったケースが39件などで、なかには、他人の情報がひも付けられていたケースも2件確認されたということです。
長野県保険医協会の宮沢裕夫会長は「さまざまな対応が必要で、現場が混乱している。制度のすべてを否定しているわけではなく、いちばん患者の利益になる方法をとってほしい」と述べ、政府に対してトラブルがないシステムづくりや「マイナ保険証」だけでなくこれまでの健康保険証も併用できる仕組みなどを求めました。

今回のアンケート調査に回答した医療機関のうち、去年6月に「マイナ保険証」の認証システムを導入した駒ヶ根市の「とうせい歯科医院」は、去年からことしにかけてあわせて7件のトラブルがあったと回答しました。
この歯科医院によりますと、トラブルには、マイナンバーカードと健康保険証の情報をひも付けしようとした際にエラーが出たケースやひも付けされている「マイナ保険証」の認証ができないケース、さらに、医療費の自己負担の割合が正しく反映されていないと患者に指摘されて会計を次回に持ち越したケースもあったということです。
また、トラブルが起きた場合には、患者が持っていた従来の保険証を使って資格確認をしたことがあったということです。
政府は、来年秋には健康保険証を廃止しマイナンバーカードと一体化する方針で、保険証の廃止後、最長1年間、従来の保険証を有効にする経過措置をとるとしています。
とうせい歯科医院の池上正資院長は、「政府は『マイナ保険証』のメリットをいろいろとうたっているが、現状ではさまざまな制約もありエラーもあるので情報の信ぴょう性も担保されなくなってしまい、それほどメリットを感じられていない」と実情を語りました。
そのうえで、政府に対して、「期限を設けて保険証を廃止するというような強硬姿勢はやめて、システム的にトラブルが起こりにくい形に変えることでリスクを減らし医療現場も患者も安心して『マイナ保険証』を使えることが分かるまでは、従来の保険証を存続していってもらいたい」と話しました。