事件目撃した男性 当時の状況克明に語る

現場近くに住み女性や警察官2人が襲われるのを目撃した男性が取材に応じ、当時の状況を克明に語りました。

【女性を襲う】
事件が起きたとき、男性は現場近くの畑で農作業をしていました。
すると「誰か助けて」という女性の声が聞こえたということです。
男性は「女性の声が聞こえたので見てみると、女性のうしろを全速力で追いかけていく男が見え、畑の土手の部分で背中から2回、サバイバルナイフで刺すのが見えた」と振り返りました。
当時の様子については「女性が倒れたあとにもさらに胸元を一回刺していましたが、表情は平然としていて、まったくちゅうちょする様子はなく、まるで獲物を狙っているかのような目をしていました」と振り返りました。
容疑者に対して、男性が「どうしてこんなことをするんだ」と聞いたところ、「殺したいから殺してやった」と言って自宅の方向に戻って行ったといいます。
【警察官に発砲】
その後、男性は警察に通報。
パトカーのサイレンが聞こえると、再び容疑者があらわれました。
このとき台車のようなものを押して近づいてきたといいます。
男性は「容疑者が台車を押してくるのが見えた。私がパトカーの誘導していたら、猟銃を手にしているのが見えたので、急いで逃げたところ、2発発砲音がしました」
【父親はひざから崩れる】
また、その後、中野市議会議長だった父親が現場の近くに来た時、ことばを交わしたといいます。
この時のことについては「父親と話した時に、事件を起こした容疑者の特徴を伝えた。そして『政憲ではないか』と父親に聞いたところ頭を抱え、がっくりとひざから崩れ落ちていた」と振り返りました。
【近所に住む容疑者の親戚の男性】
近所に住む青木容疑者の親戚の男性は、「容疑者が大学を中退する前に母親が『政憲が大学をやめたいと言ってきた。とても大きな決断になるので、お父さんとよく話し合ってから決めるように伝えた』という話をしていた。その後、しばらくしてから家に帰ってきている様子が見られたので、結局、中退したんだ思った」と話していました。
また、青木容疑者が戻ってきてからの様子について、「畑の草刈りとか機械を使って作業していたので手伝いをしているのかと思っていたが、ここ最近はまったく姿を見なくなっていて、家に引きこもってしまったのかと思っていた」と話し、そのうえで「こんな大事件を引き起こすような人間ではないと思っていたのでとても残念です。取り返しがつかなくなってしまった」と話していました。
【専門家「他人に不信感持つ認知バイアス状態」】
逮捕された容疑者は「自分がいつも1人でいることを被害者の女性が悪く言っていると思いやった」などと話していたことが、捜査関係者への取材で分かっています。
社会心理学が専門の名古屋大学の五十嵐祐准教授は「孤独を感じている時は、他人が何をやっているかすごく敏感になることが知られている。一時的な孤独の場合、解消するためにうまくつながりを作ろうと前向きな気持ちになることもあるが、この事件の場合、慢性的な孤独みたいなものがあった可能性がある。対人経験が少なく、うまく振る舞えないとますます孤独になる。それが積もり積もると他人に不信感を持つような認知バイアスと呼ばれる状態になり、あの人は自分のことを悪く思っているみたいな考え方になるという印象がある」と指摘しました。
一方で、「孤独が攻撃を引き起こすという知見はなく、今回のように攻撃的になるということは、孤独とは別のプロセスも働いていると思う」と述べました。