旧統一教会と12市町村長が関わり NHKアンケート調査
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会と政治との関わりが相次いで明らかになる中、NHKは県内すべての市町村と県にその関わりについてアンケート調査を行いました。
その結果、12人の自治体のトップがイベントに出席するなどの関わりを持ち、14の市町村が関連団体のイベントを後援するなどしていたことが分かりました。
安倍元総理大臣が演説中に銃撃されて死亡した事件のあと、旧統一教会と政治家や自治体との関わりが相次いで明らかになっています。
NHKは県内77すべての市町村と県に教会側との関わりについてアンケート調査を行い、すべてから回答を得ました。
その結果、12人の市町村長が教会側と関わりがあったことを認めました。
このうち、長野市の荻原健司市長は、去年の市長選挙の際、街頭演説に旧統一教会の関係者が集まったお礼として、関連団体のイベントにビデオメッセージを送るなどしていました。
また、上田市の土屋陽一市長は、ことしの市長選挙の期間中、旧統一教会の関連団体の会合に出席していたほか、後援会のリーフレットを手渡していたということです。
このほか、関連団体のイベントに出席したのは、諏訪市、信濃町、飯綱町、山ノ内町、小川村の5人の市町村長で、表敬訪問を受けたのは須坂市と佐久市の市長、取材に応じたのは東御市長と南箕輪村長、千曲市の前市長でした。
一方、自治体として関わりがあったとしたのは14の市町村でした。
このうち、関連団体主催のイベントを後援していたのは、信濃町、飯綱町、山ノ内町、坂城町、野沢温泉村、栄村、木島平村、小川村の8町村でした。
また、上田市と中野市、東御市、小諸市の4市は、関連団体関係者の訪問を受けたり、関連団体のイベントにビデオメッセージを送ったりしたということです。
このほか、佐久市と千曲市は、教会側からマスクの寄付を受けたとしています。
一方、県はウクライナから避難している人を支援するために行っていたクラウドファンディングで、旧統一教会から12万円余りの寄付を受けていて、全額、返金するということです。
関わりがあったとした自治体のうち、多くの市町村で関わりを見直すとしています。
このうち、自治体トップと自治体の両方で関わった上田市は「より慎重に判断し、一線を画していく」、東御市は「慎重に対応することとしたい」、千曲市は「関わりを持つことがないよう慎重に対応し、寄付・寄贈などの受け取りは辞退する」、山ノ内町は「審査を強化し、今後は関わりを持ちません」、飯綱町は「慎重に対応したい」、小川村は「今後は関係を持たない」などと回答しました。
また、自治体トップが関わった長野市は「今後は社会的に問題が指摘されている団体との関係を持たない」、南箕輪村は「取材は受けたが関連団体という意識はなかった。これ以外の関わりは一切なく、今後も同様である」現在の市長が県議会議員時代に関わった諏訪市は「慎重に判断していきたい」などとしました。
自治体として関わった小諸市は「関係は一切断つ」、中野市は「事前に調査の上、関係を持たないようにする」、坂城町は「主催団体の確認などに慎重を期す」、野沢温泉村は「後援したが今後は行わない」木島平村は団体の規約提出を求めるなど審査を見直すと回答しました。
一方、信濃町は「未定」、栄村は「現在内部で検討中」としています。
このほか、須坂市は「関連団体のイベントの賛同者に市長の名前が挙げられているが、賛同した事実はない。その後の懇談の中で不自然さを感じたので、その後、一切の関わりはない」としています。
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の関連団体との県内の自治体の関わりが明らかになる中、木島平村と松本市では関連団体がイベント開催に関わっていると認識できずに後援したケースがあり、審査のあり方を見直しています。
このうち、木島平村は、ことし7月に開かれた「ピースロード」と呼ばれるイベントに、旧統一教会の関連団体が開催に関わっているとは知らずに後援していました。
これを受けて、村は、イベントの目的やパンフレットの内容などで後援を決めていたこれまでの審査内容を見直しました。
見直しの大きなポイントは、後援申請を行う団体に「宗教的目的または政治的目的を有しているものを除く」とか「社会的な非難を受ける恐れがないこと」などの項目を盛り込んだセルフチェックシートを提出してもらうことです。
村総務課の丸山寛人課長は「疑い出せば切りはないが、今後は申請者に正直にチェックシートに記載してもらった上で、適切に判断していく」と話しています。
一方、関連が疑われる団体が関わっているとしてことし10月の短歌の催しの後援を取り消した松本市と市教育委員会は、後援の可否を判断する対象を主催者だけでなく共催や協賛の団体にも広げる方針です。
松本市教育委員会の伊佐治裕子教育長は、「後援によって市がお墨付きを与えた事業が反社会的な活動の周知に使われるなどして、市民が不安を感じることがないよう、慎重に判断していきたい」と話しています。