JR大糸線 利用促進など議論の初会合始まる 大町

利用者が減少している長野県と新潟県を結ぶJR大糸線について、沿線の自治体などで作る期成同盟会が利用促進などを議論する部会を新たに立ち上げ、その初会合がJR西日本も参加して大町市で開かれました。

JR大糸線の長野県小谷村の南小谷駅から新潟県の糸魚川駅までの区間は、ピークの平成4年度以降、利用者が減少し、この区間を運営するJR西日本は「輸送密度」が2000人に満たないほかの「線区」と同様に、利用促進策のほか、バス路線への転換を含めてそのあり方を検討していきたいとしています。
19日、大町市で沿線の自治体などで作る期成同盟会が開いた会議は、JR西日本が求めた利用促進を図るための振興部会の初会合で、はじめに、同盟会の会長で大町市の牛越徹市長が「利用促進に向けて幅広い議論を行って、大糸線が将来にわたって受け継がれるようにしたい」と述べました。
会議は非公開で行われ、事務局によりますと、大糸線の現状やこれまで沿線自治体が実施した振興策などについて意見が交わされ、次回以降の会合で、利用促進の方法や具体的な振興策などについて議論していくことにしています。
終了後、オブザーバーとして参加したJR西日本の担当者は「大糸線の厳しい現状を説明した。今後も持続可能なあり方をその方策を特定せずに、議論していきたい」と述べました。

大糸線を利用している沿線の住民からは、振興部会に対し、鉄道の存続に向けた具体的策を示してほしいなどとする声が聞かれました。
小谷村に住む高校3年生の鷲澤れいさんは、自宅からおよそ2キロ離れた最寄り駅の北小谷駅から毎朝、大糸線の始発列車に乗っておよそ40キロ離れた大町市内の高校に通っています。
鷲澤さんによりますと、通学時間帯の北小谷駅から南小谷駅までの利用客は、自身を含めて2人のケースが多いということです。
廃線となった場合、最寄り駅は今の4倍以上の8.5キロ離れた別の駅となり、車で送迎する両親の負担が増える懸念があります。
鷲澤さんは「大糸線がないと高校に行けないので、私には大切な通学手段の1つ。将来の地域の子どものためにも利用者を増やす対策をしっかり話し合って、列車を無くさないでほしい」と話していました。
また、沿線のスキー場で働く父親の善和さんは「鉄道を維持するためには、全国の事例も参考にしながら大糸線の赤字を沿線の自治体で補う対策なども必要だと思う。利用者の声を拾い上げて議論してほしい」と話していました。

JR大糸線は、長野県中部の松本市と、日本海に面する新潟県西部の糸魚川市を結ぶ全長およそ105キロの路線です。
長野県小谷村の南小谷駅を境に、南の長野県側をJR東日本が管轄し、北の新潟県側をJR西日本が管轄しています。
新たに立ち上がった振興部会で議論されるのは、JR西日本が管轄する南小谷駅から糸魚川駅までの区間です。
この区間の運行本数は1日20本で、人口減少や高速道路などの発展に伴い、平成4年度をピークに利用者が減少し、1キロあたり1日に平均何人を運んだかを示す「輸送密度」は令和2年度で50人と、ピーク時の20分の1以下に落ち込んでいます。
利用者の減少に伴って収支も悪化し、JR西日本がことし初めて公表したこの区間の年間の赤字額は、6億1000万円にのぼり、100円の収入を得るために3431円かかる計算になります。
一方で、通学で利用している高校生がいるほか、地域の基幹産業である観光を守るためにも沿線自治体は、鉄道の存続は欠かせないとしていて、振興部会で利用客の増加など具体的な収支改善策を示すことができるのか、注目されます。