前社長が逮捕・起訴の旅館「長栄館」営業終了へ 雫石町

新型コロナ対策の補助金をだまし取ったとして前の社長が逮捕・起訴され退任した雫石町鶯宿温泉の旅館「長栄館」が今月15日で営業を終了することがわかりました。

長栄館は1952年に創業した鶯宿温泉の旅館です。

ことし1月に前の社長が新型コロナ対策の補助金をだまし取ったとして逮捕・起訴され、社長を退任していました。

弁護士によりますと、新型コロナの影響で去年まで3期連続で赤字を計上するなどしていて、ことし2月には盛岡地方裁判所に破産を申し立て、破産手続きの開始決定を受け、裁判所から選任された破産管財人のもとで事業の譲渡を目指し、営業を続けながらスポンサー企業を探していました。

ことし4月にはスポンサー企業を選定するための入札が行われ、その結果、温泉旅館の再生事業などを手がける福島県の会社が最高額の2億円をつけ、事業譲渡先として選定されましたが、不動産の抵当権を持つ盛岡信用金庫が2億円での事業譲渡を拒否し、最低価格を3億3000万円に設定するよう要求するなど、金融機関との交渉が難航していました。

こうした中、弁護士によりますと、長栄館は運営資金が底をついたため、今月15日付けで営業を終了することになったということです。

従業員28人も解雇するということです。

負債総額は28億7400万円にのぼり、債権者は120人ということです。

【雫石町の話】
雫石町の観光商工課は「コロナが5類に移行し客足が戻る中で、鶯宿温泉を代表する旅館の営業停止は痛手だ。温泉街の雰囲気が暗くならないよう、引き続き、町として振興策を考えていきたい」と話していました。