災害時の優先復旧道路の指定「道路啓開計画」東北地方も未策定

災害時の道路復旧計画で、13年前から策定が求められている「道路啓開計画」が東北地方で今も策定されていないことが分かりました。
北陸地方でも策定されていなかったため能登半島地震の支援活動に影響が出たという指摘もあり、国土交通省東北地方整備局は「今年度中の策定をめざしたい」としています。

「道路啓開計画」は、大規模な地震などが起きた時に優先的に復旧させる道路をあらかじめ決めておき、応急的に復旧させるための具体的な手順を定めた計画です。

東日本大震災の直後の2011年の12月に国の防災基本計画に盛り込まれましたが策定が進まず、去年4月、総務省が国土交通省に対し、早期に策定するよう勧告しています。

しかし、東北地方では今も策定されていないことが国土交通省東北地方整備局への取材で分かりました。

東北地方整備局は「東日本大震災の復興事業に全力を注いだため、策定が後回しになった」としています。

この計画は北陸地方でも策定されておらず、能登半島地震では道路の復旧が遅れ、救助活動やその後の支援活動に影響が出たという指摘もあります。

東北地方整備局は、去年11月に協議会を設置していて、「今年度中の策定をめざしたい」としています。

地域防災や都市計画が専門の岩手大学理工学部の南正昭教授は「災害は今この瞬間に起きてもおかしくはなく、震災の教訓をふまえて早急に計画策定を進めるべきだ」と指摘しています。

【道路啓開計画とは】
道路啓開計画には、損傷を受けた道路のうち、どこを優先して復旧するかやどの作業をどの建設業者が行うかの役割分担と連絡体制、それに作業に必要な資機材をどこに置くかなど、復旧作業の具体的な内容や手順が盛り込まれます。

2011年の東日本大震災を教訓に、同じ年の12月に国の防災基本計画に盛り込まれ、国土交通省など道理管理者に対し、計画の策定が求められました。

しかし、策定は進まず、2023年4月、総務省が国土交通省に対し、各地方の地方整備局が主体となって計画を策定するとともに、民間事業者が対応できるか確認し、足りない場合は確保するよう勧告していました。