岩手県内の秋サケ 深刻な不漁 適したタイミングみながら放流

県内の秋サケの漁獲量が過去最低となるなか、野田村にある、ふ化場では、低い水温を好むサケの稚魚をいつ放流するか、タイミングをはかりながら作業を続けています。

野田村にある県内でも最大規模の下安家漁協のふ化場では、先月初めから、サケの稚魚を放流しています。

4日は、去年11月ごろに採卵され、体長5センチほどに成長した稚魚およそ300万匹をふ化場近くの安家川に放流しました。

県によりますと、昨年度、県内の沿岸と川で水揚げされた秋サケはあわせて134トンでピーク時の1996年度と比べておよそ0.2%水揚げにとどまり、深刻な不漁となっています。

「県さけ・ます増殖協会」によりますと、今シーズン、県内に19あるふ化場で確保できた卵は北海道などから譲り受けた分も含めてあわせて6100万個あまりで、計画の7割にとどまり、サケが戻ってくる回帰率を上げることが課題です。

不漁の要因としては低水温を好むサケの稚魚がここ最近の高い海水温に耐えられず死ぬことが指摘されていて下安家漁協では、高い水温にも耐えられる大きくて丈夫な稚魚を育成するとともに、野田村沖の太平洋の海水温や海流の状況を毎日、確認して放流に適したタイミングを決めているということです。

下安家漁協の島川良英組合長は「海水温の上昇が早く、稚魚の放流に適した期間が去年よりも短くなっている。回帰率を上げるために悩みながらタイミングを判断している」と話していました。

県さけ・ます増殖協会は「厳しい状況だが、来シーズンも今シーズンの計画と同じ規模の卵を確保するため、県外への協力要請も強めていきたい」と話しています。