今も1割が「話せない経験がある」 東日本大震災被災者調査

東日本大震災の被災地に住む人たちに行ったNHKのアンケートで、自分の経験を周囲の人に話すかどうか聞いたところ、発災から13年がたつ今も1割の人が「話さない」、または「話せない経験がある」と答えました。

NHKは岩手・宮城・福島の沿岸と原発事故による避難指示が出された地域に住む1000人を対象にインターネットでアンケートを行いました。

このうち被災経験のある735人に自分の経験を周囲の人に話しているか聞きました。

その結果、「聞かれても話さない」が6%「まだ話せていない経験がある」が5%となり、合わせて1割の人が今も震災の経験を話すことができないことがわかりました。

一方で、「聞かれれば話している」と答えた人が64%、「以前は話していたが今は話す機会がない」と答えた人が21%となりました。

回答した人の中からは「つらい気持ちをまだ整理できていない」や「考えるだけでフラッシュバックする」、といった声が寄せられた一方、「時間が経過して、悲しみもあるが良かった思い出も話せるようになった」という人もいました。

社会心理学が専門で、兵庫県立大学の木村玲欧教授は「次の災害に向けて話している人が今後も教訓や経験を伝承できるよう仕組みを再検討することが重要だ」と指摘しています。