大船渡市の大震災追悼施設「祈りのモニュメント」完成 除幕式

【大船渡市・14時25分】
岩手県大船渡市が整備を進めてきた東日本大震災の追悼施設「祈りのモニュメント」が完成し、震災から13年となる11日、除幕式が行われました。

「祈りのモニュメント」は、大船渡市が震災で犠牲となった人を悼み、教訓を後世に伝えようと、海を一望できる「みなと公園」内に整備を進めてきた追悼施設で、今月完成しました。

震災から13年となる11日、施設の除幕式が行われ、市の関係者や遺族などおよそ100人が集まり、モニュメントがお披露目されました。

「未来へ祈る」と記されたモニュメントは海が見えるようにガラスでできていて、10本の柱で支えられています。

市内に10ある町で未来を支え合うという願いが込められているということです。

除幕式では、地震が発生した午後2時46分に全員で黙とうしました。

続いて、日本フィルハーモニー交響楽団などでチェロの首席奏者を務めた土田英順さんが、津波で亡くなった大船渡の女性のチェロを使い、スペインの民謡「鳥の歌」など3曲を演奏しました。

出席者たちは海風に吹かれながら目を閉じ、美しい音色に聴き入っていました。

そして最後に、施設内に設けられた献花台に花を手向けて祈りをささげました。

震災で親戚を亡くした90代の女性は「13年たって亡くなった叔母さんと同じ年齢になりました。震災は悲しくて忘れられない、大きな出来事です」と話していました。

演奏した土田英順さんは「被災した人たちが少しでも早く元の生活に戻れるように、できることを精いっぱい続けていきたいです」と話していました。

【大船渡市・午後5時】
11日、除幕式が行われた大船渡市の追悼施設「祈りのモニュメント」では、夕方になっても多くの人が訪れ、施設の中に設けられた献花台に花を供えていました。

横浜市に住む渡邉裕満さん(33)は、大船渡市にキャンパスがある大学で一緒に学んでいた同級生を津波で亡くしました。

毎年、3月11日にあわせて大船渡市を訪れているということで、ことしは妻と7歳の息子を連れて「祈りのモニュメント」を訪れました。

渡邉さんは「友人のことを忘れないという思いで毎年訪れています。息子には自分の命を守る行動ができるようになってほしいです」と話していました。