元社長が逮捕された「長栄館」 裁判所が破産手続きの開始決定

新型コロナ対策の補助金をだまし取ったとして、元社長が逮捕され退任した雫石町の老舗旅館「長栄館」が裁判所から破産手続きの開始決定を受けたことが分かりました。
事業の譲渡をめざしながら、営業を継続するとしています。

これは、長栄館の代理人を務める弁護士が県庁で記者会見して明らかにしました。

長栄館は鶯宿温泉の老舗旅館で、照井貴博元社長(37)が新型コロナ対策の補助金をだまし取ったとして1月に逮捕され、社長を退任していました。

弁護士によりますと、新型コロナの影響で去年まで3期連続で赤字を計上するなどしていて、20日、盛岡地方裁判所に破産を申し立て、破産手続きの開始決定を受けました。

負債総額は28億7400万円に上るということです。

今後は裁判所から選任された破産管財人のもとで事業の譲渡をめざすことにしていて、譲渡先が見つかるまでの間も従業員21人の雇用を続け、宿泊の予約も受け付けるということです。

債権者はおよそ120人で、今月23日に盛岡市のアイーナで債権者説明会を開く予定です。

これについて奥野善彦弁護士は「従業員の雇用を守るという観点からも事業の継続が必要だと判断した。破産管財人と協力していきたい」と述べました。