ホームスパン・岩手でぬくもりを作りつづけて

冬の寒さが厳しい岩手県では、羊毛から手で糸を紡ぎ、その糸であたたかいマフラーなどを編むホームスパン作りが行われています。

「ホームスパン」とは、「家庭で紡がれた糸」を意味し、そこから“手織り”で作られる製品のことを言います。

軽くて、あたたかいのが特徴で、岩手県には、明治時代にイギリスの宣教師が技術を伝えたのが
始まりとされています。

いまでは、岩手県で全国の8割が作られています。

盛岡市の「みちのくあかね会」は戦後、夫を失った女性達の暮らしを支えるために作られ、60年以上、その技術を継承してきました。

ここでは、羊毛を染めてから糸を紡ぎ、織って仕上げるまでの7つの工程をそれぞれの担当者が分業で、すべて手作業で行っています。

ホームスパンでは、違う色に染まった羊毛を手でていねいに混ぜ合わせてから糸を紡ぐことで、1本の糸が単純な一色ではない複雑な色合いを出すことができます。

また、紡いだ糸は昔ながらの機織りで長さを整えた縦糸にシャトルという道具で横糸を通していきます。

手仕事ならではの、ふんわりと空気を一緒に織りこむように織り上げていきます。

「みちのくあかね会」の渡辺未央さんは、
「ホームスパンの温かさとその心地よさを知ってほしい。使い続けていく間に風合いが変わっていくのも楽しいので、長くつきあってもらえるとうれしいです。」
と話していました。

ここで作られたものは、工房内や盛岡市内の物産館などで販売されるほか、県外のイベントなどにも出展しているそうです。