かび毒でJA全農いわて調査 適期外の農薬散布などが原因か

JA全農いわてが販売した岩手県産の小麦「ナンブコムギ」から「かび毒」が検出された問題で、JA全農いわては、26日、調査の結果を公表しました。
生産者が、かび毒の発生を防ぐ適切な時期とは異なるタイミングで農薬の散布をしていたことなどを原因にあげています。

JA全農いわてが販売した北上市で生産された2022年産の「ナンブコムギ」からおう吐などを起こすおそれがある「かび毒」が基準値を超えて検出された問題で、26日、JA全農いわてはホームページで問題が発生した原因と再発防止策を発表しました。

この小麦は去年9月からことし11月までの間におよそ711トンが県内2社と関東にある1社の製粉会社あわせて3社に販売され、このうち404トンが小麦粉に加工されて出荷されこれまで384トンを回収したということです。

岩手県内ではこの小麦を原料にしていたせんべい店が臨時休業し、給食やふるさと納税の返礼品などにも使われていました。

また、東京や神奈川、青森、宮城、新潟の小中学校や幼稚園などで給食に使われていたことが明らかになっていて、小麦との因果関係は不明ですが、児童や生徒が体調不良を訴えて病院を受診するなどしています。

JA全農いわてによりますと今回の原因についてはかび毒などの発生を未然に防ぐ農薬散布の時期が生産者の認識不足で適切なタイミングではなかったことが確認されたということです。

また、管轄するJAいわて花巻が農薬の散布時期を含めた栽培記録を業務の繁忙を理由に適切に確認していなかったということです。

さらに小麦を受け入れていた北上市にあるJAいわて花巻の「藤根ライスセンター」では、小麦の水分量が多かったことに加え、許容量を超える小麦を受け入れたため、施設で行う乾燥作業に通常よりも日数を要したため、かび毒が発生したとみられるということです。

そしてJAいわて花巻が出荷前に行う自主検査で量や回数などが少なかったことも一因だとしています。

JA全農いわては、再発防止策として、生産者に対して予防に適した時期の農薬散布を徹底するよう指導しJAいわてグループ全体でも防除記録の確認を徹底することにしています。

また、乾燥施設の能力に応じた受け入れ体制を整備したうえで、許容量を超えそうな場合には近隣の乾燥施設と連携して対応していくなどとしています。

現在、JA全農いわてでは商品の回収に取り組むとともに、製粉メーカーを始めとした取引先への返品費用や損失などの補償について対応を進めていて「今後、このような事態がおきないように再発防止に取り組みます。消費者と事業者が安心して岩手県産の小麦を使っていただけるよう信頼回復に努めてまいります」とコメントしています。