大槌町 震災で犠牲になった職員の慰霊碑「旧庁舎跡地は困難」

大槌町で、東日本大震災の津波で犠牲になった役場関係者の遺族などが、犠牲になった職員の慰霊碑を建てるため、解体された旧庁舎の跡地の一部を提供するよう町に求めていましたが、町は要望に応えるのは難しいと回答したうえで、現在の庁舎の敷地に設置する代替案を示しました。

これは、22日、平野公三町長などが犠牲になった職員の遺族の有志でつくる会の代表や職員の代表と面会し、回答しました。

遺族などは、旧庁舎で震災のときに起きた事を後世に伝えるためにも、犠牲になった職員の名前などを刻んだ慰霊碑を建てたいとして、旧庁舎の敷地の一部を提供するよう要望していました。

これについて町側は、22日、不特定多数の利用を見込んで整備した緑地に特定の個人の名前を刻んだ慰霊碑を建てるのは適当でないと判断したことや、「慰霊の場」として町内の別の地区に追悼施設の建設を進めていて、そこに犠牲になった人たちの名前を刻んだ「芳名碑」の設置を予定しているなどとして要望に応えるのは難しいと回答しました。

そのうえで、町は慰霊碑を現在の庁舎の敷地に設置する代替案を示しました。

回答を聞いた遺族からは、「犠牲になった職員の慰霊碑を見てこの場所で何があったか考えてもらうことも伝承につながるのではないか」などの意見が出されました。

平野町長は「教訓を伝えたいという気持ちは町も同じだ。今後も議論を重ねたい」などと話していました。

遺族有志の会の代表で職員だった娘を亡くした小笠原人志さんは「残念で納得いかない。震災の教訓を後世に伝えるためにも職員の尊い命が失われたあの場所に建てる意味があると思う。他の遺族の意見も集約して今後の対応を考えたい」と話していました。