釜石市で45年前から続く交響曲第9番の最後の演奏会

釜石市で45年前から続いてきた年の瀬の風物詩、ベートーヴェンの「交響曲第9番」の最後の演奏会が開かれました。

釜石市民ホールTETTOで開かれた演奏会は、釜石市出身で、東京でアマチュアオーケストラを率いる瓦田尚さんが指揮を務め、地元の人たちでつくる合唱団や釜石市民吹奏楽団のメンバーなどおよそ180人が舞台に立ちました。

初めに演奏したのは、震災復興への願いやふるさとへの思いを込めた曲「明日を」と「群青」です。

続いてベートーヴェンの「交響曲第9番」を演奏し、クライマックスの第4楽章では、合唱団が「歓喜の歌」を力強く歌いあげ、大きな拍手を受けていました。

この演奏会は地元の人たちでつくる「かまいし第九の会」が中心となって45年前から開いてきましたが、メンバーの高齢化や活動資金の減少から今回が最後となりました。

演奏を聴いた釜石市の男性は「感動して涙が出ました。震災の悲しみも癒してくれる心の支えだったので、最後と思うと寂しい」と話していました。

第1回の演奏会から合唱に参加してきた「かまいし第九」実行委員会会長の川向修一さんは「合唱とオーケストラ、観客が一つになれたと思う。一区切りにはなるが、また別の形で文化が芽吹いていってほしい」と話していました。