ILC誘致へ 協議会 政府への働きかけなど強化の方針確認
岩手と宮城にまたがる「北上山地」が候補地になっている次世代の大型実験施設、ILC=国際リニアコライダーの誘致を進める協議会の会合が盛岡市で開かれ、引き続き政府への働きかけや海外への情報発信を強化していく方針を確認しました。
会合は県内の経済団体の関係者や学者などが集まって盛岡市内のホテルで開かれました。
最初に岩手県国際リニアコライダー推進協議会の谷村邦久会長が「誘致実現には国家プロジェクトとして位置づけられることが重要だ。国を動かすのは地元の熱意で、政府にはたゆまず粘り強く早期の意思決定を働きかけていこう」とあいさつしました。
ILCは、光とほぼ同じ速さに加速させた電子などを衝突させ、宇宙誕生の謎に迫る次世代の大型実験施設で、岩手と宮城にまたがる「北上山地」が候補地になっています。
一方、建設には巨額の費用が必要で、国の有識者会議は去年、日本に本部を置く研究所の設置について、参加国とのコスト負担などの協議が進んでいないとして「時期尚早」とする見解を示しました。
12日の会合では、先月開かれたILCの国際会議で建設候補地として日本のほかにアメリカやヨーロッパが挙げられたことが報告され「海外の目が厳しくなっている」として、日本政府が主導して国際的な議論を進めるよう、経団連などと連携した国への働きかけを強化するほか、海外への情報発信を推進することなどを確認しました。
協議会の顧問を務める岩手県立大学の鈴木厚人学長は「日本の熱意を海外に示さないと誘致できずに終わってしまう。国への働きかけに加えて誘致に向けた取り組みの積極的な発信も重要だ」と強調していました。