処理水放出で岩手県知事や県漁連が経産省に要望

東京電力福島第一原子力発電所にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を薄めて海に放出するという政府の方針をめぐって、岩手県の達増知事や県漁連の関係者などが経済産業省を訪れ、放出に伴う風評対策の徹底などを求めました。

福島第一原発にたまり続ける処理水について、政府はことし夏ごろまでに基準を下回る濃度に薄め海に放出する方針で、東京電力が放出開始に向けた準備を進めています。

23日は、岩手県の達増知事や県漁連の関係者などが経済産業省を訪れ、太田房江副大臣と面会しました。

この中で達増知事は、「近年水揚げ量が減少し復興に影を落とすなかで処理水の海洋放出が計画されていることについて、県内でも安全性への不安や新たな風評を懸念する声が寄せられている」と述べ、処理水の安全性などについての正確な情報発信や、風評被害が懸念される漁業への支援を求めました。

これに対し太田副大臣は、「処理水の処分は先送りできない課題で、着実に進めなくてはならない。最後まで気を緩めずに、理解の醸成に努めたい。安全性の確保や風評対策を100%実行したい」と応えました。

面会のあと達増知事は、「処理水の放出についてさらに丁寧な説明が果たされるかや風評対策を事前にどこまで実行できるのか見極めたい」と話していました。

処理水の海への放出をめぐっては風評被害などを懸念する声が国内外に根強くあり、放出時期が迫るなか政府と東京電力が関係者の理解を得られるか課題となっています。