東日本大震災 被災地に住む人の記憶「風化している」が6割に

東日本大震災の被災地に住む人は震災の記憶の風化をどのように考えているのでしょうか。
NHKが被災地に住む“現役世代”の中核を担う20代から50代にアンケートを行ったところ、「風化していると思う」と答えた人が6割にのぼりました。

NHKは、先月2日から7日にかけて、岩手・宮城・福島の沿岸と原発事故による避難指示が出された地域に住む20代から50代の1000人を対象にインターネットアンケートを行いました。

回答者の平均年齢は、45歳でした。

この中で、震災の記憶や教訓が風化していると思うかたずねたところ、「そう思う」が17%、「ややそう思う」が43%とあわせて60%にのぼりました。

「あまりそう思わない」が11%、「そう思わない」は3%でした。

また、震災の記憶を家族や友人と話す機会がこの1年で変化があったか聞いたところ、「変わらない」が45%と最も多くなった一方、「減った」も36%にのぼりました。

「減った」と回答した人に複数回答で理由を尋ねたところ、多い順に、「テレビや新聞で震災の話題をあまり見なくなった」が38%、「日々の生活が忙しく話す余裕がない」が35%、「震災のことを日常で思い出さなくなった」が34%でした。

社会心理学が専門で、兵庫県立大学の木村玲欧教授は「時間が経過すれば、人々の記憶はどんどん風化していくので、6割の人が風化していると思っていることは、新しい日常のフェーズに入ってきた証拠だ」と指摘しました。

その上で、「被災地には、日常に戻ったから震災のことを話さない人だけでなく、気持ちの整理がついていないが話す機会が失われてしまって、心の中にわだかまりを抱えている人もいる。このことを理解しながら次の災害に備えてしっかりと記憶や教訓を伝えていく必要がある」と話していました。