“早く死んで”発言の川南町議会議員 辞職勧告決議案が可決

病気で療養している川南町の東高士町長に対し、「早く死んでもらいたい」と発言した町議会議員について、18日、辞職勧告の決議案が議会に提出され、賛成多数で可決されました。

川南町の東高士町長はことし2月、食道がんであることを公表し、入院して手術を受けたあと、一時公務に復帰しましたが、今月5日から自宅で療養しています。

町の議会事務局によりますと、12日に行われた一般質問で児玉助壽議員が民生委員の処遇の改善について質した際、「町長は公務にほとんど従事せず、報酬をもらっているが、民生委員は一生懸命活動している。早く死んでもらいたい気持ちだ」と発言したということです。

児玉議員は当初、発言を撤回せず、議長権限で発言を取り消された後、撤回して謝罪したということです。

この発言をめぐって18日の本会議で一部の議員から「町長のみならず、療養に努める方々の心情を著しく傷つけた」などとして児玉議員に辞職を勧告する決議案が提出され、賛成多数で可決されました。

決議には法的な拘束力はなく、児玉議員は議会の中で「暴言を吐いたことを深く反省し、お詫び申し上げる」と述べた一方で、発言を支持する声もあるとして辞職しない考えを明らかにしました。

東町長をめぐっては、自宅からでも電話などで指示を出せるとして、療養中、職務代理者を置いていないことから、一部の議員からは町政の停滞を心配して代理者を置くよう求める声が上がっています。

【混乱続く町政】
川南町では町長が長期間、病気療養中となっているだけでなく、町政をめぐって別の問題も起きています。

その舞台となっているのが町の文化ホールと図書館の複合施設です。

昨年度まで、東京の企業が施設の指定管理者となっていましたが、ことし4月からは宮崎市に拠点を置く団体に代わりました。

この時の選定手続きが不透明だという指摘が出ているのです。

町への取材や情報公開請求で入手した資料によりますと、町の教育委員会は去年12月、新年度の指定管理者の募集を始め、東京の企業と宮崎市の団体から応募がありました。

河野秀二副町長と有識者らでつくる選定委員会はこれまでと同じ東京の企業を候補に選び、教育委員会に伝えました。

しかし、その後、選定委員会のトップを務める河野副町長が、東京の企業から提出されていた収支計画の根拠となる資料に不備があったとして失格にしたことを教育委員会に伝えます。

この際、7人の選定委員全員が失格に合意していると説明していました。

これを受けて、宮崎市の団体を新たに指定管理者にする議案がことし2月、議会に提出され、可決されました。

ところが、東京の企業を失格とすることについて、実は、7人の委員のうち2人が合意していなかったことが明らかになり、「手続きが不透明だ」という批判が噴出します。

町の商工会などの団体から百条委員会を設置して真相を調べるよう求める請願が議会に出され、18日採決が行われた結果、反対多数で否決されました。

この問題をめぐっては、「書類に不備はなかった」などとして東京の企業が失格の取り消しを求めて先月、町を相手に裁判を起こす事態にもなっています。

川南町では、去年の選挙で東町長が当時の現職を破って当選して以降、町長派と反町長派の対立が続いてきました。

療養中の東町長がいつ公務に復帰できるのかや、町を1つにまとめて町政運営を安定させることができるかが注目されます。