野生イノシシの豚熱感染確認を受け県が緊急会議 対策呼びかけ

6日、九州で初めて、野生のイノシシのブタの伝染病、「CSF」=「豚熱」への感染が確認されたことを受け、県は畜産関係者に対策の徹底を呼びかけました。

6日、九州で初めて、佐賀県唐津市で野生のイノシシの「CSF」=「豚熱」の感染が確認されたことを受け、県は7日、緊急の会議を開きました。

会議には県内の畜産関係者など100人あまりが出席し、感染した野生のイノシシは同じ地域で2頭確認されていて、佐賀県内で飼育されている豚の異常は確認されていないことなどが報告されました。

また、感染拡大を抑えるとされる野生のイノシシ向けの経口ワクチンについても佐賀県内で散布される見通しだと説明されました。

これに対し、会議に出席した生産者からは「熊本県や大分県など隣県の動きや対策についても県から情報発信してほしい」といった声が上がるなど、関係者もいっそう緊張感を高めていました。

県では、野生のイノシシの検査を実施してウイルスの監視体制を強化し、およそ350戸の養豚農家に対して、野生動物の農場への侵入を防ぐ防護柵の適切な管理を呼びかけるなど、引き続き、対策を講じていくことにしています。

県家畜防疫対策課の坂元和樹課長は「やれることを1つ1つやっていくことが自分たちの財産を守ることになるので対策を徹底してほしい」と話していました。

【河野知事 「強い危機感を持っている」】
佐賀県で野生のイノシシがブタの伝染病、「CSF」=「豚熱」に感染していることが確認されたことを受け、河野知事は7日の県議会で、「県内への侵入リスクが高まっていることに対して強い危機感を持っている。最大限の警戒に努め、今後の動向や国の対応を注視し、万全を期したい」と述べました。

【専門家の話 「我々の生活の身近なところまでウイルスが来ている」】
九州でブタの伝染病、「CSF」=「豚熱」の野生のイノシシへの感染が確認されたことを受け、専門家は「我々の生活の身近なところまでウイルスが来ていて、不用意に畜産関連施設に近づかないことが必要」と呼びかけています。

県の会議に出席していた宮崎大学産業動物防疫リサーチセンターの岡林環樹教授は、今回のことで感染拡大のリスクが高まっていることが確認されたとして、「養豚場にも感染が広まれば、豚の殺処分で食肉となる豚が減って、食卓にのぼる豚肉の値段が上がることも考えられる」と、単に業界内だけの問題にはとどまらない可能性も指摘しています。

その上で、「野生のイノシシという我々に身近なところまでウイルスが来ている。不用意に畜産関連施設に近づかないことや、キャンプから帰るときには山から出る前にタイヤや靴の裏を洗い流すことなどが九州の畜産業を守ることにつながる」として、畜産関係者以外にも広く協力を呼びかけていました。