県内9市町村が“消滅の可能性” 西米良村など6市町村は脱却

消滅の可能性がある全国の自治体を名指しした10年前の「増田レポート」で、県内は15市町村が「消滅の可能性がある」とされました。
24日に発表された新しい調査結果では、日南市や西米良村などが“消滅可能性”を脱し、引き続き可能性があるとされたのは、えびの市や諸塚村など9市町村になりました。

調査を行ったのは有識者グループの「人口戦略会議」で、24日、都内で増田寛也副議長らが記者会見して結果を発表しました。

そもそもなぜ、ある自治体が「消滅する可能性がある」と言えるのか?

グループが注目するのは、20代から30代の女性の数「若年女性人口」の減少率です。

子どもを産む年代の女性が減ると人口減少が加速するためで、グループでは、2050年までの30年間で若年女性人口が半数以下になる自治体を「最終的に消滅する可能性がある」と位置づけています。

24日の発表で消滅可能性があるとされたのは、全国では全体の4割にあたる744自治体。

宮崎県内では、▽串間市、▽えびの市、▽高原町、▽国富町、▽諸塚村、▽椎葉村、▽美郷町、▽高千穂町、▽日之影町の9市町村が該当しました。

前回、10年前の調査と比べると、▽日南市、▽小林市、▽綾町、▽西米良村、▽都農町、▽五ヶ瀬町の6市町村が“消滅可能性”を脱したことになります。

消滅可能性自治体の数は全国でも減少しましたが、その理由について、グループでは「最新の人口推計で将来、外国人の入国者が増加すると見込まれているためで、実態として少子化の基調はまったく変わっていない」としています。

また今回は、「消滅可能性に変わりはないが、若年女性の減少率が改善した自治体」も公表されました。

県内では、▽串間市、▽高原町、▽国富町、▽椎葉村、▽高千穂町、▽日之影町がこれに当たるということです。

一方、若年女性の減少率が20%未満にとどまる「自立持続可能性自治体」も発表されましたが、県内にはこれに該当する自治体はありませんでした。

【消滅可能性自治体から脱却した西米良村】

西米良村は、2050年までの30年間の若年女性人口の減少率が40%となり、「消滅可能性自治体」から脱却しました。

村では、未就学児がいる世帯に、商店街で使える金券を1月あたり8000円分支給しています。

また、村には高校がないため、中学校を卒業後、村外に下宿するケースが多いことを踏まえ、そうした高校生には月3万円を支給して、子育て世帯の負担を軽減しています。

また、昨年度からは移住や定住対策に特化し、さまざまな相談をワンストップで対応する「すまいる課」も設置して、人口減少対策に取り組んでいるということです。

一方、2020年の時点で1000人だった人口は、2050年には半分ほどの568人まで減少すると見込まれています。

村は「『消滅可能性自治体』から脱却したことはうれしいが、人口の減少は続き、危機感を持っている。移住する人が増えるよう、地域資源の掘り起こしを進めていきたい」と話しています。