宮崎空港を”特定利用空港”に 自衛隊利用のため整備・拡充へ

防衛力の強化に向けて政府は自衛隊や海上保安庁が訓練などで円滑に使えるように整備・拡充する「特定利用空港」に宮崎空港を指定することを決めました。

これは、政府が1日、関係閣僚会議を持ち回りで開いて決定しました。

「特定利用空港」は有事に備えて全国各地の空港から選ばれるもので、政府は自衛隊と海上保安庁の航空機が訓練などで円滑に使えるように整備・拡充する方針です。

これまで自治体と協議しながら指定先の検討を進めた結果、宮崎空港を含む九州・沖縄の5つの空港を指定しました。
政府はいずれの空港も民間利用を主体とすることは維持しつつ、必要に応じて滑走路の延長などを進める計画です。

また、「特定利用空港」のさらなる指定に向け、全国の自治体との調整などを引き続き進めていく方針です。

林官房長官は会見で「自衛隊、海上保安庁が訓練などで円滑に公共インフラを利用できるようにすることは国民保護や部隊の展開、災害時の対応などに資するものだ」と述べました。

一方、軍事拠点とみなされ、攻撃目標となるリスクについて質問されると、「平素の利用に大きな変化はなく、そのことのみで当該施設が攻撃目標とみなされる可能性が高まるとは言えない」と答えました。

【専門家 ”政府は説明を”】
今回の指定について、国際政治や安全保障論が専門の東京工業大学の川名晋史教授は「有事や自然災害のリスクに備えることが指定の背景にあり、自衛隊の機動展開能力の向上や国民保護を行う環境が整備されることになる。政府の立場から見れば合理的なものだ」と指摘しています。

一方で、「有事の際には攻撃の対象になるなど、これまであまり身近でなかった安全保障上のリスクを抱えることになる。今回、災害対応や平時の利用が前面に出された説明がなされているが、政府はメリットとデメリットを包み隠さずに説明することで住民の不安を除去していく必要がある」と話しています。