宮崎市 電動バイク使い1人で“運転代行”新サービス始まる

通常は2人のドライバーが車に乗り込んで客のもとに向かう「運転代行」。
この業種でもドライバー不足が深刻となる中、折り畳み式の電動バイクなどを使って1人で行う新たなサービスが宮崎市で始まりました。

新たなサービスは、沖縄県のベンチャー企業「Alpaca.Lab」が宮崎市で始めたもので、初日の19日、地元の観光関係者を集めて説明会を開きました。

運転代行は酒を飲んだ利用客の車を代わりに運転して自宅に送り届けるサービスで、通常、2人のドライバーが車に乗り込んで客の元に向かいます。

これに対し、新たなサービスでは折り畳み式の電動バイクや電動自転車などに乗って1人で迎えに行き、客の車のトランクなどにバイクなどを積んだ上で代わりに運転します。

ドライバーを呼ぶことができるのは観光地の青島地区と繁華街の「ニシタチ」周辺で、送り届ける距離もおおむね10キロ以内に限られます。

ベンチャー企業ではスマートフォンのアプリから客の予約を受け付け、提携する代行業者を配車していますが、今回、電動バイクを使う業者を新たに提携先に加えたということです。

運転代行の業界でもドライバー不足が深刻化する中、1人でもサービスを提供できる点がメリットだということです。

ベンチャー企業の棚原生磨代表は「運転代行が公共交通の課題解決に活躍できるプラットフォームを作っていきたい」と話していました。

【どんな企業が?】。
新たな試みを始めたのは、運転代行の配車サービスを行っている沖縄県のベンチャー企業です。

この企業が展開しているのは、利用客がスマートフォンのアプリから場所を指定するだけで近くの運転代行の車を呼ぶことができるサービス。

これが公共交通網を補完し、飲酒運転の防止にもつながる事業だと評価され、去年8月に宮崎市と連携協定を結んで市内でサービスを開始しました。

現在、市内の運転代行業者と提携し、40台の車を配車しています。

ただ、当初から課題となっていたのがドライバー不足。運転代行でもタクシーやバスと同様に2種免許が必要となるため、ドライバーの確保が難しくなっています。

その解決策の1つとして、今回、電動バイクを使うことでドライバーが1人で済む新しいサービスに乗り出しました。

【2種免許が不要!?】。
利点はそれだけにとどまりません。
ベンチャー企業によりますと、新たなサービスではそもそも2種免許が要らないということです。

企業が新しい事業を始める際に、どんな規制がかかるのかを国に事前に確認できる「グレーゾーン解消制度」という仕組みがあります。
これを使って国土交通省などに確認したところ、電動バイクを使う今回のサービスは、2種免許が必要な運転代行には当たらないという見解が示されたということです。

これについてベンチャー企業は、1種免許で可能な「運転請負業」に該当し、一定の条件を満たせば2種免許がなくてもサービスを提供できると説明しています。

【利用客にとっての違いは?】。
ベンチャー企業のアプリを通じて利用を申し込む場合、迎えに来るのが車でも、電動バイクでも料金は変わらず、特段の違いはありません。

ただ、車内にバイクを載せるスペースがない場合もあるため、アプリを通じて車か、電動バイクのどちらを配車してもらうかを事前に選べるということです。

19日時点で、配車の対象となっている電動バイクの業者は2社。バイクの台数も2台とわずかですが、タクシーの台数が少なく、運転代行の車もつかまりにくい青島地区などでは新サービスに期待する声が聞かれています。

説明会に参加した青島観光連携協議会の橋本誠運営委員長は「新しいサービスは観光客にもメリットがあるし、地元の住民にもプラスになる」と話していました。

ベンチャー企業では今後、電動バイクを使う提携先の業者や台数を増やしていく考えで、新たなサービスとして定着していくかが注目されます。