西都市でPFASの有害物質 県内で初検出 県が発生源特定へ

西都市の井戸水から、有機フッ素化合物「PFAS」のうち有害性が指摘される物質が国の暫定目標値を超えて検出されました。
県は付近の住民に井戸水を飲まないよう指導するとともに、発生源の特定を進めています。

有機フッ素化合物の「PFAS」のうち「PFOS」と「PFOA」の2種類は有害性が指摘され、県内でも河川や地下水の調査が進められています。

県によりますとこのうち、先月調査を行った西都市岡富の5か所の井戸水から、2つの物質の合算値が国の暫定目標値を超えて検出されたということです。

具体的には暫定目標値が1リットル当たり50ナノグラムのところ、この5か所では55ナノグラムから71ナノグラムが検出されました。

県内で国の暫定目標値を超えるPFASが検出されたのは初めてです。

県は隣接する新富町の一部を含む半径500メートルの範囲の住民に井戸水を飲まないよう伝えるとともに、周辺の地下水を詳しく調査し発生源の特定を進めています。

また、この地域で飲料水を井戸水に頼っている15戸については、自治体が給水袋を配付するとともに、上水道に加入するよう呼びかけるということです。

県環境管理課の野口辰美課長は「県として発生源の特定を急ぐが自然界でほとんど分解されることがないPFASは『永遠の化学物質』とも呼ばれており、目標値を下回るには長い時間がかかる可能性がある」と話しています。

有害性が指摘されている物質が国の暫定目標値を超えて検出されたことを受けて、井戸水を生活用水として使ってきた地元住民からは不安の声が聞かれました。

このうち、西都市岡富の80代の男性は「昔からこの辺りの水は、ものすごくよいと聞いていて風呂や洗濯、飲み水としても使っていたのでこんなことになるとは思わなかった。行政にはどういう危険性があるのかや原因は何なのかを説明してほしい」と話していました。

同じ地区に住む70代の女性は「井戸水は茶碗や野菜を洗うのに使っていたのでショックだ。有害な物質が完全に無くならないかぎり、自分たちが気をつけるしかないので水道水を使おうと思う」と話していました。