県内初「ハラール認証」の牛肉処理施設完成 西都市

イスラム教の戒律に従って加工していることを示す「ハラール認証」の基準を満たす牛肉処理施設が県内で初めて西都市に完成しました。

施設は、西都市の牛肉の加工会社「SEミート宮崎」が総工費およそ39億円をかけて建設したもので、県内で初めてイスラム教の戒律に従い牛肉を加工していることを示す「ハラール認証」の基準を満たす施設となるということです。

6日からの操業開始を前に5日は関係者およそ260人が出席してしゅんこう式が行われ、テープカットをして完成を祝いました。

施設は年間1万2000頭分の牛肉を加工できるということで、新たにおよそ40人を雇用し、まずは国内向けに操業を始めながら輸出先の開拓も進めていくということです。

そして、最短でハラールの認証団体の審査をクリアした場合、今年5月ごろには、認証された牛肉の輸出を始めることができるということです。

イスラム教徒は世界の人口のおよそ4分の1を占めるものの、県によりますと、過去最高だった昨年度の県産牛肉の輸出額79億円余りのうち、イスラム圏への輸出はほとんどないということで、施設の完成で輸出拡大が期待されています。

SEミートの有田米増社長は「和牛はイスラム圏にわずかしか行き渡っていない。この施設で世界に牛肉を輸出することができるため、地元農家も期待している」と話していました。

【アフガニスタンから避難の元留学生も】

イスラム主義勢力のタリバンからの迫害を恐れ、アフガニスタンから宮崎大学に避難した元留学生の30代から40代の男性3人も、この施設を建設した会社で正社員として働いています。

当時、3人が就いていた大学の研究員のポストは1年が期限で、就職先が見つからなかった場合は、日本に居続けられないおそれがありました。

有田社長などによりますと、3人は当初は、今回完成した食肉処理施設で働く予定でしたが、現在は、会社が経営する西都市の牧場で牛の飼育を行ったり、別の牛肉加工施設に勤務しているということです。

施設が完成したことを受けて会社では、今後、日本人従業員向けの勉強会の講師を担ってもらうほか、ハラール認証の牛肉の輸出先の開拓や商談を進める営業や通訳などで活躍してもらい販路拡大につなげたいと考えているということです。