豚熱 専門家「ウイルスがすでに県内侵入の可能性念頭に対策」

豚熱 専門家「ウイルスがすでに県内侵入の可能性念頭に対策」

豚熱について、宮崎大学の専門家はすでにウイルスが県内にも侵入している可能性を念頭に置き、対策を取るよう求めています。

先月、佐賀県の養豚場で豚熱の発生が確認されたことについて、動物衛生学が専門の宮崎大学農学部の末吉益雄教授がNHKの取材に応じました。

この中で末吉教授は「口てい疫のことを思い出してほしいが、佐賀では1例目、2例目の発見であり、1例目、2例目の発生ではない。抗体の値が上がっていたので、感染から2週間以上たっているかも知れない。ほかの県でも同じように潜伏している可能性がある」と述べ、宮崎県でも警戒が必要だという認識を示しました。

そのうえで「佐賀から同心円状に広がって南下すると思い込んだらダメだ。発生したら早く見つけて封じ込めることが大切なので、“これから入ってくる”ではなく、“もう入ってるかもしれない”という視点で豚に異常がないかを観察しなければならない」と指摘しました。

九州がワクチン接種の推奨地域に追加されたことについては「流通関係を考えるとどこで出てもおかしくないので、九州全体で同時に接種することが重要だ。それによって爆発的な大流行を抑えることができる」という考えを示しました。

一方、ワクチンの特徴として、▽発症を抑えることはできても感染を100%防ぐことはできないことや、▽打つと症状が出にくくなるため早期の発見が難しくなることを挙げました。

この点について、末吉教授は「打っても安心せず、いわゆる“免疫の穴”が残ってしまうので、農場バイオセキュリティーで守っていくしかない」と述べ、消毒など養豚場にウイルスを入れない対策の徹底が引き続き重要だという認識を示しました。