ストーマの扱い方を訓練できる専用アプリ開発で寄付を募る

宮崎大学の医学部の医師などが人工肛門=ストーマの扱い方をVRで繰り返しトレーニングできる専用アプリの開発を進めています。
来年度の実用化を目指していて、開発チームでは費用をまかなうため、クラウドファンディングで寄付を募っています。

専用アプリの開発は宮崎大学医学部の外科医や看護師が中心となって進められています。

人工肛門=ストーマの扱い方は主に手術後に学びますが、限られた入院期間では十分な訓練ができず不安を抱えたまま退院する人もいるということです。

開発チームによりますとアプリを使えばどこでもVRの映像を見ながらトレーニングができ、本人だけでなくサポートする家族や介護士も体感できるということです。
29日はVRで使う映像を制作する宮崎市の会社で当事者の意見も聞きながら、映像の内容について意見を交わしました。

専用アプリは来年度の実用化を目指していて開発資金の一部、400万円を調達するため、来月29日までクラウドファンディングで寄付を募っています。

開発チームの中心メンバーで宮崎大学医学部の甲斐健吾助教は「実際の装具の練習とVRの練習を組み合わせることで相乗効果が得られる。患者に少しでも笑顔を与えられるツールにしたい」と話していました。

今回のアプリの開発には、人工肛門のストーマを使っているオストメイトと呼ばれる当事者たちも参加しています。

このうち、日本オストミー協会宮崎県支部の甲斐誠郎さん(72)は8年前、直腸がんの手術を受けた後からストーマを使うことになりました。

当時は、ストーマに関する知識が全くなかったため、上手く扱えるようになるか不安だったということです。

自身は退院まで看護師などに手厚く指導してもらえたため問題なく扱えるようになりましたが、短い入院期間中に習得する機会が限られる人もいてアプリがあることでより安心できるということです。

開発チームと県によりますと、全国ではオストメイトは20万人を超え、県内では2000人余りと推計されています。

このため、開発チームは、当事者の不安を少しでも払拭できるようアプリを開発したいとしています。

甲斐さんは「患者は初めはストーマの知識がないのでみんな不安を抱えているが、VRを通じて訓練することで気持ち的に落ち着くと思う。医療を巡る技術が進歩し患者に寄り添う医療やケアが今回のVRのアプリで出来ると期待しています」と話していました。