宮崎 医療的ケア児の通所施設が財政支援要請 存続に危機感

人工呼吸器の管理など医療的なケアが必要な子どもを日中や夜間に預かる宮崎市の施設の関係者が28日、県庁を訪れ、財政的な支援を求める要請書を提出しました。

要請を行ったのは、医療的ケア児の通所施設を運営する宮崎市の認定NPO法人「ホームホスピス宮崎」です。

このNPOがおととし、市内に開設した施設「在宅総合支援HALEたちばな」では、医療的ケア児を昼間に預かる「日中一時支援」や夜間も含めて最長で2泊3日受け入れる「ショートステイ」などの事業を行っています。

NPOによりますと、乳幼児を含む25人がかわるがわる利用し、常駐する看護師が人工呼吸器の管理やたんの吸引などの高度な医療的ケアを行っていますが、国や自治体から支払われる報酬では人件費をまかなえないということです。

このため堤育子施設長が、報酬単価の低いショートステイ事業に助成を行うことや市町村ごとに異なる日中一時支援の報酬を県内全体で底上げするよう働きかけることなど、5つの項目を盛り込んだ要請書を県の担当者に手渡しました。

堤施設長は「このままでは事業を縮小せざるを得ないかもしれないという恐怖感がある。自宅で疲弊して、つらい思いをしている医療的ケア児の家族のためにも少しでも援助してもらいたい」と話していました。

県障がい福祉課の佐藤雅宏課長は「家族たちが苦労している現状を垣間見ることができた。関係機関と連携しながら福祉サービスの充実を図りたい」と話していました。

【収支の状況は】
「在宅総合支援HALEたちばな」によりますと、例えば、人工呼吸器をつけた利用者3人を2泊3日で受け入れた場合、国からの報酬が9万8000円なのに対し、人件費は16万5000円かかるため、赤字の状態だということです。
現在は訪問看護ステーションの収益でどうにか埋め合わせができているものの、このままでは事業の継続が危うくなりかねないということです。