AIの顔認証を畜産にも 牛の個体識別するシステム開発へ

AIによる顔認証の技術を畜産にも応用する試みです。

宮崎大学やJA宮崎経済連などの産官学が連携し、牛の個体を自動的に識別して防疫対策などに生かすシステムの研究開発を進めることになりました。

これは、研究開発に取り組む宮崎大学と県、JA宮崎経済連、それにIT企業が18日大学で会見し、発表しました。

農家は牛の耳に付けたタグの10桁の番号を見て個体を識別し、主に帳簿で情報を管理していましたが、タグが外れていたり、番号が汚れで見づらかったりして確認に手間がかかっていました。

このため宮崎大学などがAI=人工知能による顔認証の技術を応用し、カメラで撮影した牛の顔から個体を自動的に識別してデータを一元管理するシステムを開発することになりました。

このシステムでは、識別した牛の家畜伝染病の検査履歴などをスマートフォンのアプリで確認できるため、衛生管理の効率化に役立つということです。

また、システムを通じて伝染病の症状が出た牛の情報を県や獣医師などと共有できるようにして、迅速な防疫対策にも生かしたいとしています。

大学などはおよそ3年後までに識別率を95%以上に引き上げるとともに、県内の牛の飼育農場のうちおよそ1割に当たる500か所でシステムを試験運用することを目指しています。

宮崎大学農学部獣医学科の関口敏准教授は「スマホをかざすだけでさまざまな情報を一度に入手できるのがメリットだ。口てい疫を経験した宮崎県が防疫の先進県としてリーダーシップを発揮し、全国に波及させたい」と話しています。