延岡市と議会が対立 空飛ぶクルマ導入に向けた予算案否決

延岡市が導入を目指す「空飛ぶクルマ」の試験飛行をめぐって、市長と議会が対立しています。
議会側が試験飛行に伴う費用を補正予算案から削除する修正を行ったのに対し、市長が異議を申し立て、この費用を盛り込んだ原案が11日の臨時議会で採決されましたが、否決されました。

焦点となっているのは、延岡市が国の交付金を活用して次世代の移動手段として注目される「空飛ぶクルマ」の試験飛行などを行うおよそ3億円の事業費です。

延岡市では4年後から救急現場でドクターヘリに代わって空飛ぶクルマを活用することを目指し、試験飛行や離着陸場の選定などに必要な費用を盛り込んだ補正予算案を6月議会に提出しました。

しかし、議員側から「もっと時間をかけて審議すべきだ」などとして試験飛行などの費用を削除した修正案が提出され、今月7日に可決されたため、読谷山市長が議決をやり直す「再議」を申し立てました。

これを受け、11日開かれた臨時議会で修正案の再議が行われた結果、賛成票が可決に必要な3分の2以上に達せず否決されました。

このため、試験飛行の費用が盛り込まれた補正予算の原案について採決が行われましたが、こちらも賛成が可決に必要な過半数に達せず否決されました。

【読谷山市長は】
読谷山市長は閉会後会見し、「遺憾であり心外だ。今月中に議会を招集し、早期成立を目指したい。時間が必要だと言う議員も多いので、必要に応じて説明をしていきたい」と述べました。

市によりますと、今回の空飛ぶクルマの事業費の95%は国の交付金でまかなわれますが、予算の成立に時間がかかると事業に遅れが出て、交付金を減らされるおそれがあるということです。

このため市は、今月中に臨時議会を招集し、空飛ぶクルマの関連費用などの補正予算案を改めて提出することにしています。

また、それらを除いた11億円ほどの補正予算案については、今月14日に招集する臨時議会で別途提出し、成立を図ることにしています。

【自民党会派の団長 北林幹雄議員は】
一方、空飛ぶクルマの導入に慎重な自民党会派の団長の北林幹雄議員は閉会後、NHKの取材に対し、「不明な点があまりにも多すぎて、もっと時間をかけて審議しなければ、この事業を取り組んでよいのかという疑問がわいてきた。もっと市長としっかりとした議論をして、市長部局と議会が一体となって延岡市の発展のために頑張っていくことを願う」と話していました。