高鍋町 廃棄衣類を紙に再利用へ

持続可能な社会を目指す新たな取り組みです。
高鍋町は、廃棄される衣類を紙に再利用する団体と協定を結び、広報紙などに活用していくことになりました。

高鍋町が協定を結んだのは東京の一般社団法人「サーキュラーコットンファクトリー」で、30日、高鍋町役場で黒木敏之町長と団体の代表が協定書に署名しました。

この団体は、店舗で売れ残った洋服や市民が廃棄した衣類の綿など回収した「繊維ゴミ」を50%以上配合した紙を製造する事業を進めています。

環境省の推計によりますと、製造された衣類の6割以上が1年間で廃棄されるということで、二酸化炭素の排出削減など環境負荷を減らす点から繊維ゴミの有効活用が求められています。

自治体がこうした協定を結ぶのは全国で初めてだということで、町では今後、住民や企業に再利用を呼びかけ、繊維ゴミから作った紙を町の広報紙や地元の祭りで使う紙灯籠に利用することにしています。

「サーキュラーコットンファクトリー」の渡邊智惠子代表理事は「協定は自治体が手を上げて一緒に二酸化炭素を削減していく新たなモデルケースにもなり、この動きを全国に広げたい」と話していました。

黒木町長は「持続可能な社会を実現する見本となる町にしたいと思っていて、広報紙にも新たな紙を使い町民や他の自治体にアピールしていきたい」と話していました。

この団体がこれまで主な回収の対象にしているのは、再利用しやすい白色などを中心にした衣類やシーツ、タオルだということです。

これらを細かく粉砕した上で和紙やメモ用紙などに
再利用しているということです。

団体によりますと、世界で廃棄されるゴミ全体のうち、繊維類のゴミは14%を占めているということです。

このデータを裏付けるように環境省の推計によりますと日本でも2020年には、約82万トンの衣類が作られた一方で、3分の2にあたる51万トンの衣類が廃棄処分されるなどしています。

この団体によりますと、繊維ゴミのリサイクル率は、17%あまりと低い水準にとどまっている一方、紙のリサイクル率は67%。

今回のように繊維ゴミをリサイクルして紙を作れば、その後は高い割合でのリサイクルにつながるとしています。

高鍋町は、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする目標を掲げていて、この繊維ゴミの再利用がその達成のためのきっかけになるのではないかと期待されています。