国の運輸安全委員会 超軽量飛行機墜落事故で報告書公表

おととし、茨城県坂東市の畑に超軽量飛行機が墜落し、乗っていた男性2人が死亡した事故の原因について、国の運輸安全委員会は離陸後の上昇中にエンジンが停止して失速し、墜落した可能性があるという調査報告書をまとめました。

おととし11月、坂東市長谷の畑に「ウルトラライトプレーン」と呼ばれる超軽量飛行機が墜落し、乗っていた男性2人が死亡しました。
この事故について、国の運輸安全委員会は25日午前、調査報告書を公表しました。
それによりますと、墜落の原因について、離陸後の上昇中に燃料系統や点火系統の不具合によって空中でエンジンが停止し、失速して墜落した可能性が考えられるとしています。
また、飛行前にエンジンメーカーのマニュアルに従って点検していなかった可能性があるということです。
そのうえで、点検をしていれば不具合への処置や飛行中止の判断ができた可能性が考えられるとしています。
運輸安全委員会では、再発防止策としてメーカーが定めるマニュアルの手順に従った機体やエンジンの点検を適切に行うことが必要だとしています。

国土交通省によりますと国が調査を行った茨城県内のウルトラライトプレーンの事故はこれまでに34件で、都道府県別では全国で最も多いということです。
航空業界に詳しい桜美林大学の戸崎肇教授は、「ウルトラライトプレーンはレジャーとして普及していて、自転車と同様に免許がいらない。その結果として十分な知識、技量を持たないまま思わぬ事故にあってしまう」と話しています。
また、茨城県で事故が多いことについて「飛行できる地域は河原や野原など人が住んでいない場所に限定されるため、そういった地域が多い茨城では事故の件数も多くなりがち。5月、6月は快適な気候で利用者も増える。整備や点検を利用者任せにせず自動車の教習所のように一定の知識や技量、経験を積んだ上で操縦できる制度にしていかないといけない」と指摘しました。