筑波大 AI共同研究で米ワシントン大や半導体大手などと提携

茨城県つくば市の筑波大学は、AI=人工知能の最新技術を共同研究するためアメリカのワシントン大学や半導体大手エヌビディア、IT大手のアマゾンと提携を結びました。
これは、日米首脳会談にあわせて行われたもので、両首脳が発表した共同声明でも新たな共同研究の枠組みが設立されることになったのを、歓迎する姿勢が示されました。

この提携は、岸田総理大臣が訪米し、日米首脳会談を行うのにあわせて結ばれたもので日本時間の10日、筑波大学の永田恭介学長が出席してアメリカ商務省で調印式が行われました。
発表によりますと、筑波大学とワシントン大学、それにエヌビディアとアマゾンは、AIに関する最新技術の共同研究や人材育成、実用化などに取り組むということです。
共同研究を支援するため、アメリカの2つの会社はあわせて5000万ドル、日本円にして75億円を拠出するということです。
日本とアメリカの企業と大学によるAIに関する共同研究の枠組みの一つで、日米首脳会談のあと、日本時間の11日、両首脳が発表した共同声明でも新たな共同研究の枠組みが設立されることになったのを歓迎する姿勢が示されました。
研究を担当する筑波大学人工知能科学センターの櫻井鉄也センター長は、「多くの国立研究機関があるつくば市にある筑波大学とハイテク企業が集積するシアトルにあるワシントン大学や企業が協力することで、国際連携によるAI研究をいっそう進め、世界をリードするAI人材の育成を推進していく」とコメントしています。

筑波大学は、AI=人工知能に関する先進的な研究や教育を進めるため、7年前に「人工知能科学センター」を設置しました。
現在、80人を超える研究者が所属し、AIに関する基礎的な分野や応用分野の研究者が集まって、医療やスポーツなど幅広い分野で研究をしているのが特徴だということです。
センター長を務める櫻井鉄也教授によりますと、筑波大学ではこれまでにもAIを含むデジタルの分野でアメリカの大学と連携して技術開発などに取り組んでいて、今回まとまったワシントン大学などとの提携は、1年半ほど前から調整してきたということです。
櫻井センター長は今回の枠組みでどのような研究を進めるかについて「まずは日本とアメリカでいろいろな人が集まってお互いに交流をして新しいものを作っていく場ができることが重要だ。医療やヘルスケアだけでなくものづくりや農業など、ある程度対象を決めて、人の活動を支援するようなAIを研究していきたい」と話していました。
また、エヌビディアやアマゾンという、IT・デジタル分野での世界的な企業とも連携することについて、「社会的なニーズは企業がよく分かっているのでどのような場面でAIを使うといいのかといったニーズの把握ができる。企業にも研究者がいるので大学の中で一緒に研究したり、学生がインターンシップなどで実際に企業の現場でスキルアップすることもできる」と期待を語りました。
そのうえで、「つくば市にはいろいろな研究機関が集まっているし、ワシントン大学があるシアトルにはハイテク産業が集まっている。どちらもさまざまな分野でAIを研究していくカルチャーがあるのが強みだ。グローバルな形でAIの活用方法を考え新しいものを生み出していき、そこで学ぶ学生や社会人が高いAIスキルを習得し、育っていくような拠点にしたい」と提携の意義を強調しました。