筑波大 難治性の脳のがんに世界初の独自治療法 治験開始へ

茨城県つくば市の筑波大学は、難治性のがんの一種、こう芽腫という脳の病気に対して次世代の治療法で治験を開始すると発表しました。
こう芽腫に初めて診断された人を対象にするもので、世界初の取り組みだということです。

これは22日、筑波大学が記者会見で発表しました。
難治性のがんの一種、こう芽腫は脳の病気で、5年生存率が10%程度とされ、手術やその他の治療を組み合わせても、再発のリスクが高く、治療法がいまだに確立されていません。
こうしたなか筑波大学では、つくば市の「高エネルギー加速器研究機構」などと連携し、独自に開発した照射装置と治験薬を組み合わせた「BNCT」という治療法で、初めてこう芽腫と診断された患者への治験を始めるということです。
「BNCT」はがん細胞に取り込んだ「ホウ素」に中性子をあててがん細胞を破壊する治療法で、今回開発した装置では、治療時間を短縮することで多くの患者に治療を提供することが可能になるということです。
筑波大学によりますと、初めてこう芽腫と診断された人に対して「BNCT」の手法で治験を行うのは世界で初めてで、生存率を大きく押し上げるとともに、このほかの難治性のがんに対する治療法としても期待されるということです。
筑波大学・放射線腫瘍学の櫻井英幸教授は会見で「治すのが容易でない難治性がんへの挑戦と捉えている。今後、改良を重ねることで、1人あたりの治療時間を短縮していく。1日に複数の患者を対応できるという点が装置としては画期的だ」と話していました。