茨城 古河市立中学校教諭自殺 市に1億円余賠償命じる判決

茨城県古河市の市立中学校の40代の男性教諭が7年前に自殺したのは当時の校長の注意義務違反が原因だったとして遺族が市を訴えた裁判で、水戸地方裁判所下妻支部は、「健康状態を具体的に把握する方策などを講じていなった」などとして、14日市に対し1億800万円余りの賠償を命じました。

この裁判は、古河市の市立中学校で吹奏楽部の顧問をしていた当時47歳の男性教諭が7年前の2017年に自殺したことについて、遺族が長時間労働や連続勤務によってうつ病を発症したことが原因で当時の校長に勤務への注意義務違反があったとして市に対して、1億1100万円余りの賠償を求めていました。
14日の判決で水戸地方裁判所下妻支部の、渡辺力裁判長は、男性の勤務時間が長時間に及んだ要因は部活動で高い目標を設定していたことによるもので学校側が強いたものではないという市側の主張にふれたうえで「男性が顧問となる前から、吹奏楽部は高いレベルを目指した組織として機能していて、練習の指導は、事実上、顧問として行う、業務の一環として組み込まれ、校長も容認していた」と指摘しました。
そして、「校長は、男性の長時間労働を知り、または、知り得る状況下にありながら、具体的に軽減する方策を講じておらず、その結果、男性はうつ病を発症した。健康状態を具体的に把握する方策などを講じておらず校長には安全配慮義務違反が認められる」として市に対し1億800万円余りの賠償を命じました。
判決後、原告の代理人を務める金子直樹弁護士は、「教員の働き方が社会的に問題となるなか、学校の管理責任が認められた意義は非常に大きい。今後、部活動を含めて先生たちのすべての活動が適切に管理されるようになってほしい」とコメントしています。
また、判決について古河市の針谷力市長は、「判決書を精査し、今後の対応については、訴訟代理人と協議し決定してまいります」とコメントしています。