水戸市が「文部科学大臣賞」受賞 デジタル技術使った教育で

デジタル技術を使った教育に先進的に取り組む自治体の表彰式が開かれ、水戸市が最優秀賞の「文部科学大臣賞」を受賞しました。

デジタル技術を使った教育を推進しようと全国の自治体で作る協議会は、19日、都内で「日本ICT教育アワード」を開き、水戸市が最優秀賞の「文部科学大臣賞」を受賞しました。
水戸市では、小学校と中学校の2校でデジタル技術を活用して授業の質を高めたり、子どもたちの心の健康状態を把握するための実証実験を進めていて、今後、対象校を広げていく方針です。
取り組みでは、子どもたちがタブレット端末で解いた問題の回答や、授業の感想などを教員の端末にまとめて表示し、子どもたちのつまづきや関心を把握しやすくすることで、素早いフォローアップにつなげています。
また、子どもたちに心理状態を「晴れ」や「雨」などの5つの天気で選んでもらい、心の不調がないか確認して不登校の予兆やいじめの早期発見に生かそうとしています。
いずれの取り組みも、他の自治体にも応用しやすいことが評価されました。
水戸市の志田晴美教育長は「少しずつでもいいから対象校を拡大していき、子どもたちが学校に毎日楽しく通って、学力も身につくようにしていきたい」と話していました。

【実証実験中の笠原中学校では】
実証実験を行っている水戸市立笠原中学校を取材しました。
17日、1年生の数学の授業では、生徒たちがタブレット端末で問題を解いたあと、難しかった点など授業の感想を入力すると、高田雄太教諭が全員の記述を大型ディスプレーに表示して授業の理解度を生徒と一緒に確認していました。
また、高田教諭の端末には問題の正答率が一覧で表示され、このうち、点数が半分以下の生徒は赤色で示されます。
授業の内容が生徒にどれだけ理解されたかが一目でわかり、高田教諭は、授業の合間の短い時間で復習をするかどうかなど次の授業で教えるポイントを確認していました。
また、生徒たちの心理状態も可視化されることで、調子の悪そうな生徒に声かけするかなどの参考にしているということです。
高田教諭は「これまでは勘と経験だけで授業を進めていましたが、データがあることで、生徒がわからなかったところを把握して次の授業ができています。また、心理状態を把握することで、教員は生徒の気持ちを分かってくれているという信頼関係ができて、学校が温かくなっていくと思います」と話していました。