取手市のいじめ自殺で担任停職処分は違法 水戸地裁

9年前、茨城県取手市の女子中学生が自殺したことをめぐって、県教育委員会から対応に問題があったとして停職1か月の懲戒処分を受けた当時の担任が処分の取り消しを求めた裁判で水戸地方裁判所は、違法な処分だとして県に対して、取り消すよう命じました。

平成27年11月、取手市で「いじめられたくない」と書き残して自殺した女子中学生をめぐって市の教育委員会が「いじめはなかった」という前提で第三者委員会を設置するなど対応が問題となり、特例として県が設けた調査委員会が令和元年に自殺といじめに因果関係があったなどとする報告書を公表しました。
これを受けて茨城県教育委員会は、対応に問題があったとして、当時の担任の教諭を停職1か月の懲戒処分にしました。
この処分について、担任の教諭は、懲戒に該当する事実がなく違法だとしておととし3月に県を相手に処分の取り消しを求める裁判を水戸地方裁判所に起こしていました。
12日の判決で、水戸地方裁判所の三上乃理子裁判長は、「担任の教諭がいじめの兆候を見過ごしていじめの関係性を固定化させたという県の主張は、認められない」などと指摘しました。
そのうえで、「懲戒事由に該当しない違法な処分だ」として県に対して懲戒処分を取り消すよう命じました。
判決について大井川知事は12日の定例会見で「判決内容が手に入っていないが、県の主張が認められなかったのは大変遺憾。判決内容を精査した上で対応を考えたい」とコメントしています。
また、原告の弁護士は「裁判で、県教育委員会が出した懲戒の処分が取り消しと判断されたことは妥当だと考えています」とコメントしています。

今回の判決について、茨城県教育委員会の森作宜民教育長は「県の主張が認められなかったことは遺憾でありますが、判決文を詳細に確認の上、代理人弁護士とも相談して早急に対応を検討してまいります」とコメントしています。