2050年の茨城県の人口 62万人減の224万人と推計

茨城県の人口がおよそ30年後の2050年には224万人となり62万人減少するという推計が発表されました。
市町村別ではつくば市が水戸市を抜いて県内で最も人口が多くなるなど3市で人口が増える一方、ほかの41市町村では減少するとしています。

日本の人口がこれからどうなっていくのかを推計した「将来推計人口」を国立社会保障・人口問題研究所が発表し、2020年の国勢調査をもとに2050年までの30年間について、5年ごとの都道府県や市町村のデータも出されました。
それによりますと、2020年に286万人だった茨城県の人口は2050年は224万人となり、62万人、率にして21.7%減少するとしています。
2050年の人口の増減を関東地方で比較すると、東京は2.5%の増加となり、南関東のほかの3県の減少率は10%未満にとどまる一方、茨城県など北関東は比較的減少率が大きくなっています。
続いて、2050年の人口を県内の市町村別でみると、人口が増えるとされるのはつくばエクスプレス沿線の3つの市です。
最も増加率が大きいのがつくばみらい市で、13%増加し全国の市区町村で見ても10番目に大きくなっています。
続いて守谷市が11.4%の増加、つくば市が6%の増加で続いています。
一方、残る41市町村はいずれも人口が減少すると推計されています。
県庁所在地の水戸市の減少率は9.9%で、今回の推計では、2035年までに水戸市とつくば市の人口が逆転し、つくば市が県内で最も人口の多い市になるとされています。
2050年の市の人口は、多い順につくば市が25万6000人、水戸市が24万3000人、ひたちなか市が13万2000人、土浦市が11万8000人、古河市が10万7000人、日立市が10万4000人などと推計されています。
人口減少が深刻な地域もあり、減少率は大子町が60.4%、河内町が52.7%、稲敷市が50.9%で、この3つの市と町は人口が半分以下になる推計です。
そして2050年の茨城県では高齢化も進み全体の人口に占める65歳以上の割合が40%と、およそ10ポイント増加するとしています。
人口減少が大きい地域では高齢化もいっそう深刻で、大子町では65歳以上の割合が63.6%に達すると推計されています。

都市計画やまちづくりに詳しい筑波大学の大澤義明教授は、茨城県は平地が多く変化に対応しやすい強みを生かして、自治体どうしの連携やテクノロジーを生かすことで人口減少に対策を打っていくべきだと話していました。
大澤教授は推計について、「人口が半分になったり高齢化率が50%を超えたりするのは衝撃的で、自治体間の差が顕著になり財政も悪化していくので、もはや1つの自治体では成り立たない」と指摘しました。
茨城県は人口減少に対応する地の利があるとして、「茨城県は平地が多く自由に動けるためふだんから多くの住民が市をまたいで生活していることからわかるように、選択肢が多いのが強みだ。県全体で子育てや商業圏などテーマごとに強みを生かし柔軟に広域連携する行政の力が必要だ」と指摘しました。
具体的に必要な対策については「単純な市町村の合併や現状維持ではなく若い力で能動的に動かないと厳しい。学校の統廃合や医療など、人口減少の弱点を補足するのはテクノロジーしかないが、茨城県にはつくば学園都市があり、県北など人口減少が厳しい地域は連携して課題に対応していくべきだ。遠隔授業や遠隔医療など日本は遅れているので社会のシステムを改革する制度改革も必要だ」と話しています。