G7内務・安全担当相会合 茨城県・水戸市の魅力文化の発信も


10日までの3日間、茨城県水戸市でG7=主要7か国の内務・安全担当相会合が行われました。
各国で被害が急増している組織的な詐欺への対策や生成AIのリスクに対して一致して取り組むことなどという共同声明が採択されました。
会合にあわせて各国の閣僚などに茨城県の魅力や文化を伝えるさまざまな行事も行われました。

(安永龍平記者)
「会場の水戸市民会館前の国道50号では、警察官らがゲートを設置する準備を進めています」

12月10日・金曜日に開幕したG7=主要7か国の内務・安全担当相会合。水戸市内のホテルではレセプションが開かれました。
地元の人たちなどでつくる「水戸太鼓保存会」が太鼓の演奏を披露しました。

(茨城県 大井川知事)
「茨城県は、民間会社の都道府県魅力度ランキングで最下位となってしまいました。でも、安心して下さい!これからの3日間で水戸市や茨城県の魅力を体験いただけるでしょう」

会場では、茨城県産の30種類以上の日本酒をはじめ、常陸牛や常磐もののヒラメのすしなど、食材を生かした35種類の料理がふるまわれました。

2日目、11日土曜日の朝。会場の水戸市民会館の周辺では、道路の一部をバリケードで封鎖するなど警備がいっそう、厳重になりました。
混雑が予想されるとあらかじめ警察が呼びかけていた国道50号では一時、交通渋滞も起きました。

(国道50号沿いにある鮮魚店で働く男性)
「朝早くから警備をしていて驚きました。これほどの警備は見たことがありません。人通りはいつもより少ないですが、茨城で会合が開かれるのは誇りに思います」

市民会館では地元の五軒小学校の6年生の児童17人が各国からの出席者らを出迎えました。
児童たちは参加国の国旗を両手に持って振りながら、声を合わせて「ハロー」とか「ウェルカムトゥー水戸」などと呼びかけて歓迎し、茨城県産の赤いバラの花束を手渡していました。
出迎えをした女子児童は「各国の内務・安全担当大臣にお会いできとても光栄でした。
一生の思い出になる経験です」と話していました。
また、男子児童は「めったにない貴重な経験でとてもうれしく思っています」と話していました。

そして、テーマごとの会議が始まりました。

(松村国家公安委員長)
「犯罪と戦い社会を守るため、G7の固い結束を確認したい」

経済安全保障や、フィッシング詐欺などのサイバー犯罪対策、児童ポルノなど子どもの性の搾取の問題への取り組み、生成AIを悪用した犯罪の危険性や対処方針などについて議論が行われました。

会議の合間には各国の閣僚や関係者に茨城県の特産や文化を紹介しました。

(小野田明記者)
「コーヒーブレイクの会場では、洋菓子や和菓子、それに日本茶など茨城のおいしいものがずらりと並んでいます」

特産のさつまいもや栗、それに水戸の梅を使った菓子のほか県内で製造されている豆菓子やチョコレート菓子なども用意されました。お茶やコーヒーなどの飲み物は県内の事業者がいれ方を実演して提供されました。
「いばらき組子」や、「桂雛」など伝統工芸品も展示され、結城紬の着物の着付け体験ができるコーナーも設けられました。

各国の閣僚たちは、こんな体験も。市内にある道場、水戸東武館で、師範による真剣を使った古武道の演舞や剣道の立ち会いを見学しました。イギリスのトム・トゥーゲンハット内務省担当大臣も木刀を使った面打ちを体験しました。

(水戸東武館 高山陽好師範)
「積極的に体験もしてもらいうれしかったです。みなさんに水戸の文化を知って頂けてよかったです」

2日目の夜は閣僚たちが夕食を取りながら議論を交わしました。
会場は、偕楽園の公園の一角に民間の資金やアイデアを導入して県が整備した迎賓施設です。
この夕食でも、霞ヶ浦キャビアの前菜や、県産イセエビの新ブランド「常陸乃国いせ海老」を使った魚料理、笠間の栗のモンブランなど、県産の食材をふんだんに使った料理がふるまわれました。

そして、会合3日目の11日・日曜日。水戸市内の中学生たちが身近な安全のために守るべきだと考えたことを閣僚たちを前に英語で発表しました。

(発表した生徒)。
「スマートフォンはとても便利ですが、問題も多いと感じています」

発表した内容は、市内のおよそ2千人の中学生たちが身近な安全のために必要なことを自分たちが守るべき「宣誓」として先月、取りまとめました。発表を聞いた閣僚たちは拍手をして生徒たちをたたえ生徒たちは閣僚らとハイタッチをして、会場を後にしました。

(見川中学校 2年生 小橋川実さん)
「各国の閣僚の皆さんに英語でお話しするのはすごく緊張したけど、学べることがたくさんあった。この機会を生かし、自分自身もSNSの使い方を気を付けていきたい」

会合では、共同声明を採択しました。今回の声明で主要な項目の1つとなったのが、国境を越えて行われる組織的な詐欺への対策で、被害の抑止のため、各国が連携して取り組んでいくことで合意しました。
また、生成AIを悪用した犯罪のリスクを減らしていくため、情報共有と産業界との連携を推進していくこと、児童ポルノなど、子どもの性の搾取の問題への取り組みとして、SNS事業者などに子どもを守るための機能の整備などを促していくことも盛り込まれました。

(松村国家公安委員長)
「サイバー空間上の脅威や国境を越える特殊詐欺への対処など、多岐にわたる治安課題について非常に実りある議論を行い、G7の結束を内外に示すことができた」

そのうえで、松村国家公安委員長は、次のように述べました。

(松村国家公安委員長)
「会合に至るまでの機運を盛り上げていただいたほか、会期中の交通規制にも協力いただき、今回の会合にご理解を賜りましたことに感謝申し上げる。各国の代表団も茨城県そして水戸市の皆様の心温まるおもてなしに、大変強い感銘を覚え、帰国の途についた」