産業廃棄物の無許可埋め立て 業者と稲敷市に賠償命じる裁定

茨城県稲敷市の寺の所有地に業者が無許可で産業廃棄物を埋め立て市はこれを阻止しなかったとして、寺や周辺の住民が損害賠償を求めて国の公害等調整委員会に裁定を申し立て、委員会が20日までに業者に加えて市の責任を認めて賠償を命じる裁定を出したことがわかりました。

公害等調整委員会に裁定を申し立てたのは、稲敷市小野にある寺と周辺の住民15人です。
申し立てによりますと、2016年、寺の所有地に建設汚泥を処理した産業廃棄物が無許可で埋め立てられたということです。
寺や住民は埋め立てに関与した2つの業者に加え、稲敷市にも埋め立ての停止を命じるなどの適切な対応を取らなかった責任があるとして、埋め立てによって枯れた樹木の復旧費用や住民への慰謝料などあわせて2750万円の損害賠償を求めていました。
これについて、委員会は、20日までに業者の責任を認めるとともに、稲敷市についても無許可の埋め立てを認識できる状況だったとして、違法に権限を行使しなかったなどという判断を示しました。
そのうえで、業者と市が共同で2000万円余りを寺や住民に支払うよう命じる裁定を出しました。
稲敷市は「現在、裁定書の内容を精査中であり、今後の対応について検討している」としています。