産総研が「産総研 研究者カード」作成し配布 つくば

茨城県つくば市にある産業技術総合研究所が、最新の科学技術について関心をもってもらおうと「産総研 研究者カード」を作成し、一般公開で訪れたひとたちに配布しました。

つくば市にある産業技術総合研究所は今月11日、中学生以上を対象に個別のブースで研究者と直接交流できる大規模な一般公開を4年ぶりに開き、1200人余りが訪れました。
ことし、特に注目を集めたのが最新の科学技術について関心をもってもらおうと作成した「産総研 研究者カード」で、研究者と直接、話をした来場者に配られました。
カードは研究者74人分作られ名刺と同じくらいの大きさで、表にそれぞれの顔写真や名前、裏面には研究成果や内容、好きな作業、それに、気分転換の方法などが書かれています。
地質研究者のブースでは、来場者が笠間市で採れた花こう岩などの岩石をハンマーで割る体験を行ったあと、好きな作業は「岩石を構成する鉱物をひたすら数える」などと書かれたカードを受け取っていました。
愛知県から訪れた高校3年生の男子生徒は「将来、宇宙関係の仕事に携わりたいと考えているので、研究者の方のお話を直接聞けて励みになりました。カードを家に持って帰って自分も頑張ろうと思います」と話していました。
カードを企画した産業技術総合研究所、ブランディング・広報部の荻原直祐さんは「産総研は研究分野の多様さが特徴なので、カードを集めてもらうことで多様性を目で見て感じてもらいたい」と話していました。
産業技術総合研究所では、今後も同様のイベントがあれば、研究者カードを配布したり、さらに種類を増やしたりすることも検討しているということです。
【研究者の反応は】
産業技術総合研究所によりますと「産総研 研究者カード」について、一部の研究者は恥ずかしがって撮影に協力してもらえないこともあったということですが、参加した研究者からは研究内容を話しやすくなるなど新たな取り組みに期待する声が聞かれました。
取り組みに参加したナノ材料研究部門の田嶌一樹上級主任研究員は、自動車や住宅の窓などに使われ、光や熱をコントロールする「調光フィルム」の研究開発を行っています。
カードでは調光フィルムの実物を写真で紹介したほか、フィルムが空調の負担軽減や熱中症防止に役立つことなども紹介しています。
田嶌さんは「フォーマルな服装やくだけた服装なども含めて20回ほど撮影したが、出来栄えについては、まずまずいいほうだと思う。研究内容や趣味など相手と話しやすくなるという意味では、ビジネスの場所でも活用できるのではないか」と話しました。
また、地圏資源環境研究部門の吉岡真弓研究グループ長は、地下水の流れや熱利用の研究をしています。
カードでは、岩石や土壌からデータを計測し、地下水の温度変化などをシミュレーションしていることなどを紹介しています。
吉岡さんはカードについて、「作ったのははじめてで、少し恥ずかしいです。カードを見た来場者からは『かっこいい』とか『地球を救ってくれそう』と言われました」と話していました。
そのうえで、「このカードのために質問に来てくださる方や何か少しでも質問しようと思う方が多いみたいで、効果があると感じました」と取り組みを評価していました。
【県内では「いばらき女将カード」も話題に】
カードを使ったPRをめぐり、茨城県内では、旅館やホテルのおかみたちによる「いばらき女将カード」も話題となっています。
このカードは、去年イベントで作成し、宿泊者などに配ったところ好評だったことから、県やJRなどで実施している「茨城デスティネーションキャンペーン」にあわせて、第2弾として作成したものです。
全部で28種類あり、カードではおかみの写真とともに、宿の特徴などが紹介され、今回は、ポップコーンのお菓子とのセットで宿や土産物店などで販売されています。
SNSなどで話題を集めたこともあり、多くの施設で今は売り切れになっていますが、一部の宿では購入できるということで、県は在庫の情報をネットで公開しています。