阿見町 人口5万人超える 市制移行へ新部署の検討など準備に

茨城県阿見町の1日時点の人口は速報値で5万14人と、5万人を超えたことがわかりました。
町が目指す市への移行は国勢調査で人口5万人以上となることが要件の一つとなっていて、町では新たな部署の設置を検討するなど準備を進めることにしています。

阿見町はJR荒川沖駅周辺やアウトレットモール近くの住宅開発などにより子育て世代を中心に人口が増えていて、町では市への移行を目指しています。
法律では、国勢調査で人口5万人以上となることが市移行の要件の一つとなっていて、町では、前回3年前の国勢調査の人口から毎月の人口の増減を計算して推移を追っています。
町によりますと、この調査に基づく人口は5万人弱で推移していましたが、1日時点の速報値で5万14人となり、5万人を超えたということです。
町は、再来年に実施される国勢調査の結果を待つとともに、市移行へ向けた新たな部署の設置を検討するなど準備を進めることにしています。
阿見町の千葉繁町長はNHKの取材に対し、「待ちに待った時で住民の皆さんも楽しみにしていたので、大変うれしいです。市制移行に向けた準備を進め、持続可能な自治体を目指していきたい」と話していました。
阿見町の人口が速報値で5万人を超えたことについて、地元の人たちからは歓迎する声が上がる一方、市になるメリットについて説明を求める声も聞かれました。
おととし町に移り住み妻と1歳の子どもと暮らす30代の会社員の男性は、「町外から来る人が多く、若い人が増えているし、新しい住宅も造られて町の活気を感じます。保育園が多く、子育てしやすいですがさらに子育て支援を充実してほしいです」と話しました。
また、80代の男性は「日本の人口が減るなかでも町の人口が増えていることは、住みやすい魅力があるからで、すばらしいことだが、町から市になるメリットを教えてほしい」と話していました。
70代の看護師の女性は「5万人を超えたからみんなが豊かになるとは思っていないので、あまり期待はしていない。みんなが豊かになるようなまちづくりをしてほしい」と話していました。
阿見町によりますと、市になる要件には地方自治法と県の条例に基づく要件をそれぞれ、満たす必要があります。
このうち地方自治法では、市となるための要件として人口5万人以上であることや商工業などに従事する人やその家族などが全人口の6割以上であることなどが定められています。
この要件を満たしているかどうかは国勢調査の結果をもとに判断され、近いところでは国勢調査は再来年に実施されます。
また、県の条例では上下水道などの設置、1校以上の高校の設置、図書館、博物館、公園などが2か所以上設置されていることなど9つの要件が記されています。
町によりますと、このうち、町が満たしていないのは、警察署や鉄道の駅、保健所など行政や公的な施設、9種類のうち5つ以上が設置されていること、それに、映画館や劇場などが2か所以上設置されていること、という2つの要件だということです。
ただ、県の条例では、9つの要件を「おおむねそなえていなければならない」としていて、解釈の余地が残されています。
町内には交番があることや、町と隣接する地域にJR荒川沖駅があることなどから町としてはおおむね要件は満たしているとして、県と協議を進めることにしています。