原発事故時の放射性物質拡散想定 条件追加の再試算を求める

茨城県東海村にある東海第二原発で重大な事故が起きた場合に放射性物質がどのように拡散するか計算したシミュレーションについて、茨城県が信頼性を高めるためにも条件を追加して改めて試算するよう日本原子力発電に対して求めていることが分かりました。

茨城県は避難対策に役立てようと東海第二原発で重大な事故が起きた場合の放射性物質拡散のシミュレーションを日本原電に求め、先月、結果を関係する自治体に説明しました。
詳細はまだ公表されていませんが、複数の安全対策設備が一斉に機能を失って炉心が損傷し、容器内の気体を放出するための「フィルター付きベント」という装置も使えなくなる事態を想定し、気象条件を変えて計算していて、関係者によりますと、避難か一時移転が必要な範囲は風向きに応じて風下方向を中心に30キロほどの範囲に広がる結果になっているということです。
県が検証を委託した第三者機関ではシミュレーションの方法を「おおむね妥当」としていますが、一部の自治体からは条件設定次第で内容は変わるため有効性を疑問視する声もあがっていて、県は、信頼性を高めるためにも条件を追加して改めて試算するよう日本原電に求めていることが分かりました。
関係者によりますと、今回とは別の事故が起こる想定でも試算を行うほか、大気中の物質の拡散しやすさを示し、放射性物質拡散のシミュレーションを行う際、重要な条件として活用されることが多い「大気安定度」というデータも反映させることなどを求めています。
県は、自治体に対してシミュレーションの内容を引き続き説明し、理解を得た上で結果を公表することにしています。
その上で、避難と一時移転が必要となる住民の規模や渋滞する道路、それに避難に必要な車両の台数などを検証し避難対策を強化する方針です。