水戸の市立中学校で「調査書」に誤り 報告怠る不適切対応

水戸市の市立中学校でことし3月、生徒が受験した高校に提出する「調査書」という資料に誤りがある可能性があったにも関わらず、校長が市教委への報告などを怠る不適切な対応をしていたことがわかりました。
茨城県教育委員会は「事実関係を詳細に確認し、厳正に対処したい」としています。

「調査書」は中学校の成績をもとに受験する高校に提出され、学力検査の結果などとともに合否の判断に使われるものです。
水戸市の中学校では、教科担任が個人の成績をパソコンで入力し、そのデータが「調査書」や「通知表」などに反映され卒業生から申請があった場合にのみ作成される「成績証明書」にも反映されます。
水戸市教育委員会によりますと、市立中学校で、ことし3月10日、通知表を受け取った当時3年生の生徒が1つの科目の評定が誤っていることに気付き、学校側は通知表を訂正しました。
ただ、同じデータを元に作成される調査票にも誤りがある可能性があったにも関わらず、校長は合格発表まで4日しかない中、「時間が無く訂正は難しい」と判断して生徒に伝えなかったほか、生徒が受験していた高校への連絡や市教委への報告も怠る不適切な対応をしていたということです。
問題は明るみにならないままになっていましたが短期留学を予定していた別の卒業生が先月、成績証明書を受け取った際に評定の誤りに気付いたことがきっかけで、事態が進展しました。
市教委が念のため、この中学校の卒業生全員を対象に調べたところ、最初に通知表が誤っていることに気づいた生徒の調査書の評定が誤っていたほか、中学校で記録していた成績も、複数のクラスの複数の生徒の分で誤っていたことが分かったということです。
原因は教科担任が、個人の成績をパソコンで入力する際に、誤った数字を入れてしまったためでした。
この中学校では、受験する高校に提出する調査書を作る際、複数の教員が成績のデータを照らし合わせてチェックしたものの、気づけなかったということです。
最初に通知表が誤っていることに気づいた当時3年生の生徒のケースについては今月に入って、正しい調査書をもとに高校が再度判定したところ、合否に影響はなかったということです。
教員を監督する水戸市教育委員会は、チェックリストをつけた入試事務マニュアルを今年度の高校入試に間に合うよう作成する方針だということです。
教員の人事を担う茨城県教育委員会は、「事実関係を詳細に確認し、厳正に対処したい」と話しています。