茨城県 新たな特別支援学校を神栖市に設置 2027年開校へ

特別支援学校に通う子どもが増えていることから、教育環境を改善するため、茨城県は神栖市に新たに特別支援学校を設置し、2027年の開校を目指すと発表しました。

これは4日、茨城県の大井川知事が定例の記者会見で明らかにしました。
新たに特別支援学校を設置するのは神栖市の須田地区で、市内に住む児童や生徒を対象に小学部から高等部までおよそ150人を受け入れます。
予算規模はおよそ40億円で、校舎を建設するなど準備を進め2027年4月の開校を目指します。
鹿行地域には鹿嶋市に特別支援学校があり、増加する利用者に対応して増築をしたものの保護者からは壁が薄く外の音が響くため、授業に集中しにくくなっているという声が上がっていました。
また、神栖市の端にある波崎地区からの通学距離は、最長でおよそ40キロと長く、長時間の通学も課題となっていました。
ことし5月には障害児の保護者などでつくる住民団体が、神栖市内に特別支援学校の設置を求めるおよそ1万人の署名を提出していて、県は新たな学校を設置することで障害がある子どもたちの教育環境を改善したいとしています。
大井川知事は「利用者のみなさんの負担は非常に深刻な状況だと判断し、緊急に対応を検討した。新たな学校で利便性を劇的に向上させることができるので、のびのびと学んでいただける環境を実現したい」と話していました。

署名活動を行った「神栖市に特別支援学校を求める会」代表の中谷みずほさんは、医療的ケアを必要とする長男の中谷蒼頼くん(当時6歳)をことし、神栖市の自宅から鹿嶋市にある特別支援学校に通わせる予定でした。
ただ、在籍する子どもの数が県内で2番目に多くなっていて、1人1人への対応が不十分になってしまうと懸念したことや、長時間の通学が負担になることから、身近な場所でも教育機会を得たいと、去年、神栖市内に特別支援学校の設置を求める署名活動を始めました。
一方、この活動のさなか、蒼頼くんはことし1月、体調が急変し亡くなりました。
それでも中谷さんは9939人の署名を集めことし5月、県教育委員会の森作宜民教育長に手渡しました。
中谷さんは「学校に行くことを楽しみにしていた子どもが亡くなり残念ですが、いろんな人に支えてもらい、責任を果たすことができてよかったです」と喜んでいました。
新たに設置される学校については「本当に欲しい学校はどのような学校なのか、保護者や地域の人、教職員が県と話し合える機会があるとありがたいです」と話していました。