複数の農産物 献上品と紹介も実際は献上されず 筑西

複数の農産物 献上品と紹介も実際は献上されず 筑西

茨城県筑西市が市内の複数の農産物について皇室や宮内庁への献上品だとして市の広報誌で去年まで2回にわたって紹介したものの、実際には献上されていなかったことが今月になってわかり、市では事実確認が不十分だったとしています。

筑西市は市内で栽培される農産物が皇室や宮内庁に献上されているとして、3年前と去年、市の広報誌でそれぞれの農産物や生産者の思いを紹介する記事を掲載していました。
このうち3年前の広報誌の表紙には「筑西市から皇室へ」という文字が書かれ、生産者たちの「大変名誉なことだ」というコメントが紹介されているほか、別のページでは「宮内庁献上」と書かれた木の看板を持った生産者たちが須藤茂市長と写る写真も掲載されていました。
しかし、筑西市によりますと、今月になって広報誌に掲載された生産者の1人から「献上されていなかったかもしれない」という連絡を受けたということです。
茨城県によりますと、献上品は都道府県を通して届けられるということで、市が県に確認をしたところ、いずれの農産物も献上されていないことが判明したということです。
このため市は、市のホームぺージで公開している広報誌のうち献上品として紹介していた該当のページを取り下げたということです。
筑西市の広報誌は月1回、3万5000部が印刷され市内のほぼ全世帯に配布されているということです。
市によりますと、当時、農家側から「宮内庁への献上品になったので市長に報告したい」という情報があり、記事にしたということで、筑西市広報広聴課の篠崎英俊課長は「事実関係の確認や献上品に関する認識が不足していた。今後は可能な範囲で裏付けなどをしていきたい」としています。
一方、広報誌に掲載された生産者の1人はNHKの取材に対し、「ある人物から自分の農産物が献上されていると聞かされていたが、今となってはだまされていたと思う」と話しています。
宮内庁への献上品をめぐっては宮内庁の関係者などを名乗り、「皇室への献上品として提供してほしい」とうそを言って福島市の農家から桃をだまし取ろうとしたとして、28日、東京の容疑者が詐欺未遂の疑いで警察に逮捕されています。
宮内庁は、ホームページで、「宮内庁やその職員が皇室への物品の献上を一般の方に依頼し、献上につき看板の様なものなどをお渡しすることはありません。宮内庁の職員や関係者を名乗り、皇室への献上などを求められたときは、必要に応じて、宮内庁や地元の警察などに相談してください」と呼びかけています。