感染症による発熱と新型コロナで小児医療の救急外来がひっ迫

小児医療を専門にしている茨城県の病院の救急外来では、ことし5月以降、ウイルス性の感染症による発熱で受診する子どもが増加傾向にあり、さらに今月からは新型コロナによる受診が増えているため、病院では、業務のひっ迫で重症の患者への医療に影響が出るおそれもあるとして危機感を強めています。

小児科の専門病院となっている水戸市の茨城県立こども病院では、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行したことし5月以降、発熱などを訴えて救急外来を受診する子どもが増えています。
ほとんどが新型コロナ以外の感染症で、先月の1か月間に発熱を訴え救急外来を受診した子どもの数は370人で、去年の同じ期間の2倍近くになっています。
一方、県の新型コロナの「定点把握」による感染状況のデータによりますと、乳幼児の新規感染は先月中旬から増え始めました。
今月16日までの1週間では65人となっていて前の1週間に比べ15人増え、増加傾向にあります。
こうしたなか、この病院でも今月に入ってからは、受診したあとに新型コロナの感染がわかるケースが増えているということです。
病院では、新型コロナ以外の感染症で受診する子どもへの対応で医師や看護師の人員がひっ迫するなか、新型コロナの診療の対応が加わっているため、こうした状況が続けば、重症の患者への医療などに影響しかねないとして危機感を募らせています。
茨城県立こども病院集中治療室長の本山景一医師は「どうしても軽症の子どもをたくさん見ていく中で重症の子どもたちをみるとなると、マンパワーの問題で待たせる時間が長くなるため、異常に気づくのが遅れたりとか処置が遅れたりしないようにかなり気を使いながらみている」と話していました。
また、本山医師は、「新型コロナも含めてウイルス性の病気の可能性があっても、とりあえずしばらくは様子を見て県が出している重症化の目安となる症状を参考にしてもらって、まだ、様子を見ることができそうときは自宅でケアしてもらい、翌日にかかりつけに行くとかしてほしい。ただ、重症化の兆候があれば夜中でも急いで救急外来を受診してほしい」と話していました。

【子どもの重症化リスク 迷ったときは】
子どもが発熱した場合などに、重症化するリスクが高いかどうかを、どのように見極めたらよいのでしょうか。
本山医師によりますと、手がかりの1つとなるのが、茨城県が作成したウェブページ「小児救急医療啓発サイト〜こどもの救急手引き」です。
このページで「主な症状別の対処法」というタブをタップやクリックなどで選び、あてはまる症状を選んでいくと、「救急要請」をすべきか、かかりつけ医を受診したほうがいいか、あるいは、しばらく経過を観察するかなど、対応についてアドバイスが示されます。
このほか、子どもについて救急要請すべきか迷った場合などに、24時間相談に応じる電話窓口もあります。
電話番号は「シャープ8000」で、医師や看護師が症状を聞き取って、アドバイスをしてくれます。
なお、大人の症状の場合は、「シャープ7119」にかけてほしいとしています。