水戸市民会館オープン 活性化の切り札となるか

水戸市の中心市街地に、新しい水戸市民会館がオープンしました。

空洞化が指摘されて久しい県都・水戸市の中心市街地。

その活性化の切り札となるのか、注目されています。

（水戸放送局記者　安永龍平）

【オープン初日は】
水戸市泉町に整備された新しい水戸市民会館。
建物などだけでおよそ１９２億円かけて整備され、関連事業を含めた規模はおよそ３６０億円となっています。

オープン初日の２日は、およそ２０００人が出席して記念式典が開かれ、狂言師の野村萬斎さんが、開館を記念する舞を披露しました。

またこの日は、市民会館と百貨店をつなぐ歩道橋も開通しました。

水戸市民会館は、地下２階、地上４階建て。複数のホールや市民が利用できる会議室などを備えています。

隣接する水戸芸術館と百貨店をあわせたエリア「ＭｉｔｏｒｉＯ」の中心にあり、市はこのエリアを「にぎわいづくりの拠点」と位置づけています。

市民からも期待の声が聞かれました。

（市民の１人）
「思ったより立派にできて、水戸市民としてはうれしい」

（別の市民）
「郊外に比べると人がなかなか来ないところになっていたので、人を呼ぶ施設として、今後にぎわいが生まれることを期待したい」

【特徴は？】
新しい市民会館は、大規模な国際会議やアーティストのライブなどのイベントも受け入れられるような施設として整備されました。

特徴は、２０００席の大ホール。壁面に取り付けられた、およそ２５０枚の音響反射板は梅の花をモチーフにしています。

また、座席数は、水戸市の県民文化センターの大ホールが１５００席余り、つくば市のつくば国際会議場のメインホールが１２００席余りと、県内の比較的大きな施設より座席数が多く、県内最大規模です。

東京だと、豊島区にある東京芸術劇場のホールなどがほぼ同じ規模となります。

続々とライブやイベントが決まっていて、こけらおとしの公演は、「ゆず」さん。

このほか、長渕剛さん、それに玉置浩二さんなど著名なアーティストのライブやイベントが決まっています。

【建て替えの経緯】
建て替えのきっかけは、東日本大震災でした。

震災後の耐震調査で、「大規模な地震で倒壊、または崩壊する可能性が高い」と診断され、建て替えの話が持ち上がったのです。

整備する場所について検討が進められた結果、市は、平成２５年に、中心部の再開発事業とあわせて泉町に新たに建て替えることを決めました。

事業費が高額すぎるとして、反対する声もありました。しかし、水戸市としては、中心市街地の活性化が課題となる中、その解決に向けた切り札として整備を進めたのです。

水戸市の高橋靖市長は、記念式典で次のように話していました。

（高橋靖市長）
「この地に立地すること、この規模で市民会館を整備すること、賛否両論の渦の中にありました。この場所に設置したのは、水戸市の課題であった中心市街地の活性化、水戸市の弱点であるコンベンション機能の強化を図るためです。しっかりとその目的が発現されるような活用をしていかなければならない」

【期待は周辺の店からも】
市民会館から西に２００メートルの商店街にあるお好み焼き店では、定休日だった２日、開館にあわせて臨時で営業していました。

（お好み焼き店　川又　勝昭店長）
「もちろん期待しています。市民会館からも商店街の看板が見えますよね。それが大きいと思います。大工町全体がもっと盛り上がっていくようになってほしい」

市民会館から徒歩５分のコーヒー店。

ことし４月にオープンしたばかりで、店主からも期待の声が聞かれました。

（コーヒー店　瀧口　恭　代表）
「いろいろな著名な人が来るということなので、全国から水戸に来てくれるお客さんがいると思うので、水戸の個人店でおもしろい店がいっぱいあるというアピールの場になればと思っています」

【どこに駐車すべき？】
期待の声がある一方、懸念の声もあります。それが駐車場についてです。

市民会館には、来館者用の駐車場はありません。

市は市民会館のホームページで、周辺の有料駐車場を示す地図を公開していて、活用を呼びかけています。

市によりますと、半径５００メートル以内にはおよそ４５００台分の駐車場があるといいます。

点在する駐車場を利用してもらうことで、市としては、まちなかを歩き、周辺の店に立ち寄ってもらうことにもつながると期待しています。

ようやくオープンした水戸市民会館。

市は、市民会館の年間の利用者数を６０万人と見込み、経済効果は４８億円と試算しています。

整備に大きな費用がかかっただけに、狙いの１つである中心市街地の活性化につなげられるのか、まずは、市民会館で狙いどおりの大規模イベントが継続的にできるのか、その運営の手腕が問われることになると思います。