つくばエクスプレス延伸先 “土浦方面”に決定 茨城県

茨城県の大井川知事は、2050年ごろの構想として掲げるつくばエクスプレスの茨城県内での延伸先について、4つの候補の中から土浦方面に決定し、構想の具体化に向けて検討を進めていくと発表しました。

大井川知事は23日の記者会見で「実現可能性のある延伸先であることが、最も重要だと考えて判断した」と述べ、つくばエクスプレスを土浦方面に延伸し、土浦駅でJR常磐線と接続することを目指して構想の具体化に向け検討していくと発表しました。
そのうえで、土浦方面への延伸が実現したあと、状況が変われば、茨城空港方面への延伸について改めて議論するとしています。
茨城県は2050年ごろの構想として、つくばエクスプレスの延伸先に筑波山方面、水戸方面、茨城空港方面、土浦方面の4つを挙げ、昨年度から絞り込みを行ってきました。
そして、県の設置した第三者委員会は、今年3月、土浦方面に延伸して土浦駅でJR常磐線と接続するという提言書をまとめ、県はこの提言を踏まえ、パブリックコメントを行っていました。
県は、今年度、費用対効果や採算性を向上させる方策などを調査・検討するとともに、延伸ルートや事業スキームを検討することにしています。
つくばエクスプレスは、茨城県のほか、東京都や千葉県、埼玉県などが出資する会社が運行していて、延伸にあたっては沿線の都県の理解をどう得ていくのかや、概算で1400億円に上るとされる事業費をどのように調達していくのかが課題となります。

茨城県は、つくばエクスプレスの土浦方面への延伸のメリットとして、東京圏からの新たな人の流れの創出や、公共交通の利用促進のためのサービスレベルの向上、それにつくばエクスプレスとJR常磐線がつながることで災害時や輸送トラブルの発生時には相互に補完しあえることなどを挙げています。
一方、茨城県の調査では、土浦方面に延伸した場合の概算事業費は1400億円に上る見込みです。
つくばエクスプレスの運行会社の株主となっている茨城県と東京都、それに千葉県、埼玉県はかつて、「東京方面以外への延伸はそれぞれの県が費用を負担する」ということで合意していますが、茨城県は、単独で巨額の費用を出すことは難しいと考えています。
このため茨城県の大井川知事は、東京都が都心と臨海部を結ぶ新たな地下鉄の事業計画案でつくばエクスプレスとの接続を検討するとしたことに注目し、23日の会見では「合意をなかったことにしてもらい、県内延伸と東京延伸を同時に進めようという構図に持っていきたい」と述べて東京方面への延伸と県内への延伸をセットにすることで3都県にも費用負担について理解を得たいという考えを示しました。

【JR土浦駅前では】
茨城県がつくばエクスプレスについて土浦方面への延伸を目指すと決めたことについて、JR土浦駅前では歓迎する声が聞かれました。
牛久市に住む73歳の男性は、「つくばと土浦が鉄道で直結すれば行きやすくなる。土浦の街も発展すると思うのでぜひ実現してほしい」と話していました。
土浦市に住んでいて東京の会社に通勤する39歳の子育て中の女性は、「仕事で東京に出ている時に事故や災害などでJRが止まった場合にも、つくばと土浦が直結していると帰宅しやすくなる」と話していました。
東京に住んでいて土浦市に実家がある27歳の女性は、「実家に帰省したときはつくば市に買い物に行くことも多いので、つくばエクスプレスでつながればとても便利になると思う」と話していました。
【土浦市長は】
つくばエクスプレスについて茨城県が土浦方面への延伸を目指すと決めたことについて土浦市の安藤真理子市長は、「土浦市の描いた夢が現実へと大きく動きだしたことを大変うれしく思っている。延伸による効果を最大限発揮できるよう新たな事業の検討を進めていきたい。土浦延伸が実現することで県全体の発展に結びつくよう県と連携を密にしながら取り組んでいきたい」と話しました。
【つくば市長は】
つくばエクスプレスについて茨城県が土浦方面への延伸を目指すと決めたことについて、秋葉原駅から東京駅への延伸を求めているつくば市の五十嵐立青市長は、「これからも東京駅延伸を第1優先にした要望活動を行うことは変わりませんが、茨城県から協力の依頼があれば情報収集を行い、茨城県内への延伸のメリットとデメリットを総合的に検討していきたい」としています。
【石岡市長は】
つくばエクスプレスについて茨城県が土浦方面への延伸を目指すと決めたことについて、市内を経由して茨城空港への延伸を求めてきた石岡市の谷島洋司市長は、「茨城県全体の発展のためには、石岡市を経由した茨城空港までの延伸が必要だという思いは変わらない。長期的展望に立った場合、社会情勢の変化による公共交通の在り方などをさらに検討する必要があると考えている」としています。