水戸市民会館事業費返還訴訟 原告の訴え退ける判決 水戸地裁

来月にオープンする水戸市の市民会館の整備などを含めた再開発事業の費用がかかりすぎているなどとして、市民グループが261億円余りの事業費を市に返還することなどを求めて水戸市の高橋市長を訴えた裁判で、水戸地方裁判所は原告の訴えを退ける判決を言い渡しました。

水戸市泉町に来月オープンする市民会館は、2000席規模の大ホールのほか中小のホールなども備えた地下2階、地上4階建ての建物で市が中心部の再開発事業の中核として整備を進め関連事業を含めた規模はおよそ360億円となっています。
裁判は、この再開発事業をめぐって市民グループが起こしたもので訴状などによりますと、費用に見合うだけの効果があるかどうかの調査分析が十分ではないまま事業が進められ費用がかかりすぎているなどとして、水戸市の高橋靖市長に対してこれまでに市が支出したおよそ261億6900万円を水戸市に返還することなどを求めています。
これに対して高橋市長側は、事業は適法に行われていて問題はないとして原告の訴えを棄却するように求めていました。
15日の判決で、水戸地方裁判所の廣澤諭裁判長は、「水戸市は経済的波及効果について検討してないことはなく、現時点でにぎわいが生じない事態は想定できない」などと述べ、事業について市長の裁量権の範囲の逸脱や乱用は認められないとして、原告の訴えを退ける判決を言い渡しました。
判決の後、原告団の田中重博団長は、「とんでもない不当な判決だと思う。市民会館の今後の運営についてしっかり監視していきたい」と話し、控訴については今後、メンバーと相談していきたいとしています。
一方、今回の判決について水戸市は、「新市民会館は市民や経済団体などのご協力のもと整備を進めてきたもので、その必要性が認められたものと考えております」などとコメントしています。