聴覚障害の学生が研究成果を展示 筑波技術大学で卒業制作展

聴覚や視覚に障害がある学生のための国内唯一の国立大学、筑波技術大学で、聴覚に障害がある学生たちが共生社会の実現について考えるなどした学びの成果を集めた卒業制作展が開かれています。

茨城県つくば市にある筑波技術大学の天久保キャンパスで開かれている卒業制作展には、聴覚に障害がある学生たち17人分の研究成果が展示されています。
このうち田村彩七さんは聴覚に障害があっても音楽を楽しみたいという人がいることを伝えようと、どうすればもっと音楽が楽しめるかという方策を4コマ漫画にまとめました。
好きな歌手が新曲を発表したときのミュージックビデオに歌詞の字幕がついておらず残念に思った体験などを、かわいらしいイラストで描いています。
田村さんは「障害を感じずに音楽を楽しめるような社会が当たり前になってほしいというのが願いです」と話していました。
一方、藤野桃香さんは卒業後に社会に出ることに不安を感じていたことから、同じ思いを持つ後輩の参考にしてもらおうと、聴覚に障害がある大学の卒業生23人に社会人としての経験をインタビューして冊子にまとめました。
会議で議論のスピードが早すぎて手話通訳が追いつかず理解できなかったといった困った経験もありますが、音声を自動的に書き起こすシステムなどを使って円滑にコミュニケーションを取れているという声や、どんな配慮が必要かを説明できるようにしておくといいといった具体的なアドバイスも盛り込まれています。
藤野さんは「聴覚に障害がある人の働き方や仕事の探し方の参考にしてほしい。健常者にも見てもらい、参考にしてほしい」と話していました。
卒業制作展は来月上旬まで開かれているほか、筑波技術大学のホームページでも公開されています。